知恵蔵 「古生物DNA解析」の解説 古生物DNA解析 PCR法を用いた古遺伝子の研究で有名なのは、1990年に、米国アイダホ州にある中新世の湖底堆積物から得たモクレンの葉の化石からDNAの断片の回収に成功した例とされてきたが、近年では、現存種から混入したDNAの可能性が高いと指摘されている。この種の研究は日本でも行われている。マンモスの肉や毛から採取したDNAと、アフリカ象やアジア象のものとの比較の結果、化石記録と形態の分岐分析の推論とは一致せず、ゾウ亜科3属の関係では定説が得られていない。今後はより多くの塩基配列情報を取得し、再検討する必要があるとされる。今日では、化石生物と類縁の二枚貝、巻貝、フジツボ類、ウミユリ類、腕足類などの現生種について解析が進んでいる。恐竜のDNA回収の報告例があるが、のちに汚染によるものと判明。 (小畠郁生 国立科学博物館名誉館員 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by