日本大百科全書(ニッポニカ) 「史料綜覧」の意味・わかりやすい解説
史料綜覧
しりょうそうらん
六国史(りっこくし)以降の日本歴史年表。17巻(未完)。東京大学史料編纂所(へんさんじょ)(もと文学部史料編纂掛)編。「平安時代之一」宇多天皇887年(仁和3)以降、「江戸時代之四」明正(めいせい)天皇1639年(寛永16)まで。1900年(明治33)時点、ひととおり編纂を終っていた『大日本史料』の一次原稿8000冊(『史料稿本』とよぶ)は出版に数十年要すると考えられたため、別に『史料綜覧』として1967年(慶応3)までの分を作成し、一般に供しようとした。『史料稿本』のうちから年月日順に、綱文(こうぶん)(事件の概要)を抜き出し、目文(もくぶん)(事件を記している材料、史料)の書名のみを注記しただけではあるが、目文の書名は信憑(しんぴょう)度の高い順に排列(はいれつ)されている。巻1~10(1923~1938年(大正12~昭和13))刊。巻11~17(1953~1963年(昭和28~38))刊。『大日本史料』は出版に際し、新しい材料を補うとともに綱文にも検討を加えているため、『大日本史料』の刊行されている年次は、参照する必要がある。綱文は、事件の経過をひと纏(まと)めにして掲げる方針。巻17以降の分は、担当室を閉じたため刊行未定。覆刻版、東京大学出版会、1981~1982年。覆刻普及版、同上、2010年。
[益田 宗]