日本史のもっとも包括的で基本的な編年体の史料集。東京大学史料編纂(へんさん)所編。勅撰(ちょくせん)の国史である六国史(りっこくし)の後を受けて、887年(仁和3)から明治維新の1867年(慶応3)に至るまでの史料を政治史を中心に編年体にまとめたもの。日本史上の諸事件を年月日順に配列して、内容を簡潔にまとめた綱文(こうぶん)を掲げ、そのあとに関連史料を可能な限り網羅して収めている。政治史の流れを知るにはもっとも基礎的な史料集で、年末には雑載(ざっさい)と称して社会、経済、文化、宗教などの関連史料を収めていて役だつ。また、死没記事に関連して編纂されている伝記史料も重要である。全体が16編に分けられ、国家的事業として1900年(明治33)から出版が開始された。第1編(887~986)と第4編(1185~1221)について本編が完結し、補遺の編纂が進められている。第2編と第3編、第5編~第12編は編纂・刊行中。1651年(慶安4)からを収める第13編以下は基本資料の蒐集とデータの整理・公開を行っている。なお、未刊の部分については『史料綜覧(そうらん)』17巻が出版されており、多少の誤りもあるが、研究上の手掛りを得られる。
[黒田日出男 2015年10月20日]
東京大学史料編纂所が毎年編纂出版している日本史の編年史料。887年(仁和3)から1867年(慶応3)まで。ただし1651年(慶安4)以降については未定稿。既刊分は300冊を超える。編纂・出版の経緯は《大日本古文書》と同様,明治維新政府の正史編修から転じて1901年以降史料の刊行に至ったもの。史料を事項ごとにまとめ,これを生起した年月日順に配列出版したのが本書である。第1編(平安時代1),第2編(同2),第3編(同3),第4編(鎌倉時代1,完結),第5編(同2),第6編(南北朝時代),第7編(室町時代1),第8編(同2),第9編(同3),第10編(安土時代),第11編(桃山時代),第12編(江戸時代1)の各編に分けられるが,第5編などは,完結に100年以上の歳月を要する見込み。
執筆者:益田 宗
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東京大学史料編纂所によって継続刊行中の大部の日本史の史料集。古代の六国史を引き継いで国の正史を編もうとの国家的要請にもとづき,明治初年から史料編纂所の前身である修史局などの組織によって,史料収集・稿本作成などの準備が進められ,1901年(明治34)から刊行を開始。現存する膨大な文献史料を事件ごとにまとめて年代順に並べ,各条の冒頭には事件の要点をのべた綱文(こうぶん)を配するという工夫がされているため,ある事件の典拠史料を即座に一覧できるという大きな利点がある。また綿密な調査と精緻な校訂に裏付けられており,基本史料集としての信頼度が高い。ただ,道半ばの事業であり網羅されている時期が少ないのが難点。現在,887年(仁和3)から1651年(慶安4)までが12の編にわかれ,計400冊余が刊行されている。
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…この〈類聚〉という考え方こそ,後の塙保己一(はなわほきいち)の《群書類従》,明治政府の《古事類苑》などに通じる類書的発想,ひいては今日の情報管理の原則たる知りたい知識情報そのものへの接近を可能ならしめる工夫である索引,抄録の思想につながるものである。それはまた史料編纂所の大事業《大日本史料》編纂にも受け継がれている。やがてわれわれはより便利な漢和字書《和名類聚抄(わみようるいじゆしよう)》をもつが,これも一種の類書であった。…
…近代的な歴史学の導入・発達に従い古文書学も輸入されたが,文書の真偽鑑定など歴史学の補助学の地位に置かれ,近世以降の文書を主対象としないなど体系化しえず,史料としての古文書,記録類の編纂事業は進められても,それらの保存・利用体制は制度的に未熟であった。1869年(明治2)明治天皇の沙汰書により大学校に国史編輯局が置かれ修史事業を開始したが,93年編年史の形の史誌編纂事業を停止,収集史料の編纂を行うために95年帝国大学文科大学史料編纂掛が設置され,1901年《大日本史料》《大日本古文書》を発刊,29年史料編纂所と改称,50年東京大学付置研究所の一つとなった。史料編纂所は日本に関する史料の研究,編纂および出版を行うことを目的に,古文書・古記録・古書の収集,複本の作成,ほかに寄贈・移管により原本も保存するが7万点余にすぎない。…
※「大日本史料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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