東京大学の附置研究所で、日本史の研究機関。日本史の史料を調査・収集するとともに、『大日本史料』『大日本古文書』『大日本古記録』『大日本近世史料』『大日本維新史料』『花押(かおう)かがみ』などの史料集を編纂・出版している。史料編纂所の前身は、1869年(明治2)に明治天皇の修史事業開始の命令によって設置された史料編輯(へんしゅう)国史校正局で、その後、修史局、修史館と改称し、六国史(りっこくし)に続く正史の編纂を目ざした。しかし帝国大学に移管後、ドイツ人教師L・リースの勧告をいれ、1895年、史料の編纂を目的とすることにし、史料編纂掛と改称した(1929年史料編纂所と名称変更)。以後、編年体史料集である『大日本史料』と古文書集である『大日本古文書』の編纂を開始、1901年(明治34)にその第1冊目として『大日本史料 第6編之1』『大日本古文書 編年文書1』を刊行した。さらに1909年には外務省の幕末外国関係文書、第二次世界大戦後の1949年(昭和24)には文部省の大日本維新史料の両編纂事業を合併、古代から明治維新に至る長い時代の史料の出版を行うことになり、現在に至っている。その間、田中義成(たなかよしなり)、辻善之助(つじぜんのすけ)、黒板勝美(くろいたかつみ)、相田二郎(あいだにろう)(1897―1945)ら、実証的研究を柱とする優れた日本史研究者を生み出している。また現在では、史料集の出版とともに、収集した史料の閲覧・公開という史料センター的機能も備え、歴史学界に大きな寄与をしている。
[千々和到 2018年9月19日]
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日本史にかかわる史料の研究と編纂・出版を目的として設置された東京大学の付置研究所。1869年(明治2)三条実美(さねとみ)を総裁とする史料編輯国史校正局に始まり,昌平学校の国史編輯局,太政官正院歴史課,同修史局,同修史館などと変遷。88年に修史事業が帝国大学に移管されたのちも文科大学史誌編纂掛,同史料編纂掛,文学部史料編纂所などと改組を重ね,1950年(昭和25)現在の組織となった。「大日本史料」「大日本古文書」「大日本古記録」「大日本近世史料」「大日本維新史料」「日本関係海外史料」などを刊行し,収集された膨大な史料の公開業務とともに研究の発展に寄与。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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…その役割を果たすうえで,1872年国史編輯局は太政官制のもとで歴史課と改称され,また75年に修史局,77年には修史館となった。86年には内閣制度の施行下で内閣臨時修史局となったが,その2年後,同局は廃止されて,業務は東京帝国大学の史料編纂掛(1929年史料編纂所と改称)に移管された。【石塚 裕道】。…
…この〈類聚〉という考え方こそ,後の塙保己一(はなわほきいち)の《群書類従》,明治政府の《古事類苑》などに通じる類書的発想,ひいては今日の情報管理の原則たる知りたい知識情報そのものへの接近を可能ならしめる工夫である索引,抄録の思想につながるものである。それはまた史料編纂所の大事業《大日本史料》編纂にも受け継がれている。やがてわれわれはより便利な漢和字書《和名類聚抄(わみようるいじゆしよう)》をもつが,これも一種の類書であった。…
※「史料編纂所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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