日本大百科全書(ニッポニカ) 「合理化反対闘争」の意味・わかりやすい解説
合理化反対闘争
ごうりかはんたいとうそう
資本主義的合理化に反対する労働者の闘い。資本主義的合理化の今日的特徴は、労働生産性の向上による相対的剰余価値の搾取強化に重点が置かれ、生産過程への大規模な機械の導入、新機種の採用が図られている。この結果、生産現場では、労働密度の増大、休暇取得の制限、労働時間の管理強化など、労働条件切下げの合理化が進む一方、首切り、一時帰休、配置転換、採用控えなど人減らし合理化が顕著となっている。したがって労働者の合理化反対闘争は、単に賃上げや労働時間短縮の闘いだけでは事態に十分対応できない。合理化反対闘争の課題と方向は、第一に、労働協約で確認された労働条件の維持のみならず、その引上げを柱に据えること、また法制的には現行労働基準法(昭和22年法律49号)の保護基準の引上げ改正の闘いに結び付かざるをえない。第二に、人減らし合理化が政府・独占資本一体の産業経済政策として展開されているもとでは、解雇制限などの法制化とあわせ、失業者の救済、雇用需要の喚起など政策要求闘争の展開が重要な課題となっている。第三に、これら合理化反対闘争の主体と拠点は労働組合であるが、労働組合だけで闘いきれるものではない。合理化反対闘争は職場を基礎としながらも、産業別統一闘争を軸に国民各層の民主主義と生存権の課題と不可分に結合させ、それとの共闘のなかで進める必要がある。
[吉田健二]