名ばかり管理職(読み)なばかりかんりしょく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「名ばかり管理職」の意味・わかりやすい解説

名ばかり管理職
なばかりかんりしょく

管理職としての権限報酬を得ていないのにもかかわらず、管理職扱いされる従業員。「偽装管理職」ともよばれる。労働基準法第41条第2号で定められている管理職は「監督若しくは管理の地位にある者(以下、「管理監督者」という)又は機密の事務を取り扱う者」で、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けない。しかし「監督若しくは管理の地位」を拡大解釈し、広範囲の労働者を「管理監督者」と位置づけ、休憩や残業無給にするばかりか、休日出勤を無給で強制するような行為が横行した。これについては労使とも違法行為であるとの感覚はないことが多かった。しかし、2005年(平成17)にハンバーガー・レストラン・チェーンである日本マクドナルドの店長が起こした裁判では、2008年に東京地方裁判所が管理職ではないとの主張を認め、原告側が勝訴。東京高等裁判所での裁判中の2009年3月に和解が成立し、会社側が店長は管理職でないことを認めた。この裁判が契機となり、外食や小売り業界を中心に、管理職権限に関する見直しなどが行われた。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

人事労務用語辞典 「名ばかり管理職」の解説

名ばかり管理職

十分な職務権限を持たないにもかかわらず、肩書きだけを与えられて管理職とみなされ、残業代が支払われない従業員のこと。「偽装管理職」とも呼ばれています。
(2008/4/21掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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