最新 地学事典 「向山火山」の解説
むかいやまかざん
向山火山
Mukaiyama volcano
伊豆諸島,新島の南部を占める黒雲母流紋岩質の単成複式火山。噴出物の体積は現在残されているものだけで1.25km3,総噴出量はその数倍に達する。噴火年代は886(仁和2)年で,『日本三代実録』『扶桑略記』に噴火記事がある。新島最新の火山。浅海底からのマグマ水蒸気爆発で噴火活動を開始したが,山体の成長とともに噴火様式が変化した。活動初期のマグマ水蒸気爆発によりベースサージが噴出し,本村集落のある低平な台地を形成した。また,ベースサージ堆積物は新島北方の旧火山体(宮塚山,標高432m)を覆い,一部は周辺の島嶼(式根島・早島・地内島)に達した。この活動により房総半島南部に層厚数cmの降灰がもたらされた。その後,大峰火砕丘(標高300m,火口縁直径約1.5km)が形成され,火口を埋積するように溶岩円頂丘が成長した。溶岩円頂丘は複数のローブからなる。溶岩表面にはスパイン(丹後山),規則的に配列するプレッシャーリッジが認められる。溶岩上層部はきわめて多孔質で見かけ比重が小さく(0.8~1.5),建材・耐火材として採掘され,抗火石と呼ばれる。
執筆者:伊藤 順一
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

