呼吸窮迫症候群(読み)こきゅうきゅうはくしょうこうぐん(その他表記)Respiratory distress syndrome of the newborn

六訂版 家庭医学大全科 「呼吸窮迫症候群」の解説

呼吸窮迫症候群
こきゅうきゅうはくしょうこうぐん
Respiratory distress syndrome of the newborn
(子どもの病気)

どんな病気か

 肺胞をふくらんだ状態に保つために、肺胞の細胞から表面活性物質(サーファクタント)が分泌されていますが、それが不足しているか、あるいはそのはたらきが阻害されたために、肺胞がしぼんでしまって呼吸困難を起こす病気です。

原因は何か

 表面活性物質が十分に産生されるのは妊娠の32週ころからなので、それ以前に生まれた赤ちゃんでは発症しやすくなります。また、満期で生まれた赤ちゃんでも、胎便を肺に吸引した場合や、仮死などで強い低酸素や低血圧になったあとなどに、表面活性物質のはたらきが阻害されて発症することがあります。

症状の現れ方

 出生後まもなくから、陥没呼吸(息を吸い込む時に肋骨の間や胸骨の下がへこむ呼吸)や呻吟(しんぎん)(息を吐く時にうなり声を出す)がみられるようになり、次第に進行します。チアノーゼもみられ、多くの場合は酸素投与のみでは改善しません。

治療の方法

 肺に管を入れて人工呼吸器による呼吸補助を行いながら、できるだけ早期に人工肺表面活性物質(サーファクタント)を気管から肺に注入します。胎便の吸引や、仮死(かし)などが原因にある場合は、肺の洗浄強心薬などによる循環の補助などの治療も同時に必要になります。これらの治療を行うことで、多くは2~3日で改善します。

 しかし、この病気を発症する赤ちゃんは未熟性が強いために、普通は数日から数週間の人工呼吸器による治療が必要になります。この病気のあとに「気管支肺異形成症(いけいせいしょう)」を発症してくることも多く、人工呼吸器などによる治療が長期間必要になることもあります。

病気に気づいたらどうする

 ただちに新生児専門の治療施設がある病院に搬送します。

佐藤 尚

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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