人工呼吸器(読み)ジンコウコキュウキ

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

人工呼吸器

自発呼吸ができない状態になると、肺に空気を押し込み、酸素を取り入れる人工呼吸が必要になる。よく使うのは、チューブを口や鼻から入れる気管挿管。1〜2週間たっても呼吸器を外す見込みがないときは、のどに穴を開ける気管切開をしてチューブを入れる。呼吸器は病気が治るまで呼吸を助けるもの。終末期の場合、呼吸ができずに苦しんでいる時に人工呼吸器を装着すれば、呼吸だけは楽になるが、外すと死に直結するため、なかなか外せない。

(2006-04-04 朝日新聞 朝刊 富山全県 1地方)

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大辞林 第三版の解説

じんこうこきゅうき【人工呼吸器】

救急時・麻酔使用時、また病室で、患者の肺に空気または酸素を送って呼吸を助けるための装置。レスピレーター。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人工呼吸器
じんこうこきゅうき

さまざまな原因によって自己の呼吸では十分な換気が行えなくなった際に、換気を補助または強制的に行う器械で、ベンチレーター、レスピレーターともよばれる。現在使用されている人工呼吸器には種々の補助装置が装備されており、肺が障害されたために血液の酸素化が不十分となった場合にも使用される。
 人工呼吸器には、蘇生(そせい)バッグ、麻酔器のようにバッグを押すことによって人工呼吸を行うものと、電力・ガス圧を利用して自動的に人工呼吸を行うものがあり、一般的には後者が人工呼吸器とよばれている。これには、患者の頸部(けいぶ)以下を気密にしたチャンバー(仕切り空間)に入れ、チャンバー内の気圧を陰圧にしたり大気圧にしたりして呼吸を行う「鉄の肺」と、気道に陽圧を加えることによって吸気を行い、呼気は肺および胸郭の弾性を利用する間欠的陽圧換気法によって行うものがあるが、現在使用されている人工呼吸器は後者である。
 人工呼吸器が必要となるのは、およそ次のようなときである。
(1)頭部外傷、脳血管障害、中毒などによって脳の呼吸中枢が障害されたり、頸髄損傷、重症筋無力症、その他の神経・筋疾患によって呼吸筋が麻痺(まひ)したりしたために自力では十分な呼吸が行えなくなった場合、
(2)種々の肺疾患によって酸素マスクや酸素テント等の方法では血液が十分に酸素化されなくなったり、炭酸ガスの排出が不十分となった場合、
(3)呼吸に多大な労力を必要とし、患者の消耗が著しい場合、
などである。短時間の人工呼吸器の使用はマスクによっても可能であるが、通常は長時間必要とされるため、気管内挿管を行った状態で使用される。
 なお、最近の人工呼吸器には、種々のモニター装置、警報装置、換気パターンの選択など、複雑な機構を内蔵しているものが多いため、その使用にあたっては高度の知識が必要とされる。[片岡敏樹]

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