咳く(読み)シワブク

デジタル大辞泉 「咳く」の意味・読み・例文・類語

しわ‐ぶ・く〔しは‐〕【×咳く】

[動カ五(四)]
せきをする。
火燵こたつの間に宮の―・く声して」〈紅葉金色夜叉
わざとせきをする。せきばらいをする。
大夫たいふ妻戸をならして―・けば」〈若紫

せ・く【×咳く】

[動カ五(四)]《「塞く」と同語源》せきをする。せき払いをする。しわぶく。 冬》
病人が―・くので」〈滝井無限抱擁

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「咳く」の意味・読み・例文・類語

しわ‐ぶ・くしは‥【咳】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙
  2. せきをする。せきこむ。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「築地のくづれより、白き物の、いたうしはぶきつつ出づめり」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)花桜をる少将)
  3. 合図したり、注意をひいたりするためにせきばらいをする。わざとせきをする。
    1. [初出の実例]「かの木のもとにおはし着きて、しはぶき給へば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)

せ・く【咳】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「せく(塞)」と同語源 ) せきをする。せきが出る。せきばらいする。しわぶく。
    1. [初出の実例]「ねぬとしりてやにぐるぬす人 せきをせく声も立田の月のよに」(出典:俳諧・望一千句(1649)九)
    2. 「痰が肺へ溜る為に呼吸する場所が狭くなる。そして其痰を出す為にせく」(出典:好人物の夫婦(1917)〈志賀直哉〉二)

すわ‐ぶ・くすは‥【咳】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙(せき)をする。しわぶく。
    1. [初出の実例]「すはぶきて翁や門をひらくらむ〈几董〉 聟のえらびに来つるへんぐ蕪村〉」(出典:俳諧・桃李(1780))

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