デジタル大辞泉 「塞く」の意味・読み・例文・類語 せ・く【▽塞く/×堰く】 [動カ五(四)]1 流れなどをさえぎってとめる。せきとめる。「小川の水を―・く」2 物事の進行や人の行動を妨げる。特に、男女の仲を妨げる。「叔母がお勢と文三との間を―・くような容子が徐々そろそろ見え出した」〈二葉亭・浮雲〉3 涙をこらえる。「涙ばかり、のどめがたきに―・かれ侍る程なさも心憂く」〈夜の寝覚・三〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「塞く」の意味・読み・例文・類語 せ・く【塞・堰】 〘 他動詞 カ行四段活用 〙① 水の流れをせきとめる。[初出の実例]「指櫛を以て其の流るる水を塞(せき)て」(出典:播磨風土記(715頃)揖保)「瀬をせけば淵となりてもよどみけりわかれをとむるしがらみぞ無き〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八三六)② 涙の出るのをおしとどめる。涙をこらえる。[初出の実例]「御方ははやうせ給にきと言ふままに二三人ながらむせかへりいとむつかしくせきかねたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)「こぼれそめぬる涙はえとめもあへず、せきがたげなり」(出典:苔の衣(1271頃)四)③ 物事の進行や人などの行動を妨げる。[初出の実例]「勢賀(せか)と云ふ所以は、品太天皇此の川内に狩したまひき。猪・鹿を多く此処(ここ)に約(せき)出だして殺しき。故、勢賀(せか)と曰ふ」(出典:播磨風土記(715頃)神前)「俺のやうな者を客にしたって、どうせ碌な事はないとか何とか思ったんだ。あいつが俺を堰(せ)いたんだ」(出典:大川端(1911‐12)〈小山内薫〉三〇)④ 男女の仲を妨げる。互いに思い合う男女の仲を故意にさえぎりへだてる。[初出の実例]「其上、あまりせけば。せきてのぶげんより、せかれてふけんなれば。此けいせい、みかへ申物也」(出典:評判記・寝物語(1656)一八)「紙屋治兵衛ゆへぢゃとせくほどにせくほどに、文の便も叶(かな)はぬやうに成やした」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)上)「他でも無い、此頃叔母がお勢と文三との間を関(セク)やうな容子が徐々(そろそろ)見え出した一事で」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例