日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐宋詩醇」の意味・わかりやすい解説
唐宋詩醇
とうそうしじゅん
中国、清(しん)の乾隆(けんりゅう)帝が自ら編著したとされる唐宋詩の選集。47巻。1750年(乾隆15)完成。本書は網羅的に編んだものではなく、唐宋詩の精華ともいうべき6人の代表的作家の秀作を選び、詩人論と各個の作品評を加える。唐では李白(りはく)(八巻)、杜甫(とほ)(10巻)、白居易(はくきょい)(八巻)、韓愈(かんゆ)(五巻)、宋からは蘇軾(そしょく)(10巻)、陸游(りくゆう)(6巻)の2人が選ばれている。作品の選択はおおむね妥当であり、批評も優れるが、皇帝の御定になるだけ、忠君愛国の志をたたえたり、教訓性を重視しようとする傾きがある。『唐宋文醇』58巻(1738成立)と対をなす。
[伊藤正文]