商法大意(読み)しょうほうたいい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「商法大意」の意味・わかりやすい解説

商法大意
しょうほうたいい

商法司が商法会所を設立するため1868年(慶応4)5月に布達した5か条からなる方針のこと。商法会所は、維新期の経済混乱と金融難を救うため、旧来の商品流通機構を改革し、その必要資金を供給することを目的としたものである。商法大意では、商品引当ての太政官札(だじょうかんさつ)を貸し付けてその流通を図るために、それまで株仲間組織を形成していた株数制限の撤廃冥加金(みょうがきん)上納の廃止に加えて、株仲間制度の改編を打ち出した。しかしこれは旧来の株仲間解散というよりは、株仲間の組織外の商人をも含めた再編であって、彼らを商法会所の規制下に組み入れようとするねらいをもつものであった。しかし、不換紙幣である太政官札の流通は困難を極め、幣制の混乱を招いたため、イギリス公使パークスの抗議をはじめ、当時の先進資本主義国からの圧力を受けて、この方針は変更を余儀なくされた。

[加藤幸三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の商法大意の言及

【株仲間】より

…安政の開港以来,貿易による商品流通の新たな展開は,これら拡大した株仲間によっても掌握困難な状況をひき起こし,横浜では仲間外商人の活躍が著しかった。明治新政府は68年(明治1)に〈商法大意〉を発し,株仲間の人数増減は自由であること,冥加金,上納金の徴収は行わないことを示し,特権的な性格を持つ株仲間に対しては否定的であり,幕藩制的な商品流通に照応した株仲間は基盤を失った。【林 玲子】。…

【商業】より

…(2)幕末の開港は明治政府も継承し,中央政権として直轄港のみを開港し,諸藩の貿易を排除しようとした。(3)1868年(明治1)〈商法大意〉を発布して,自由取引の原則を宣言した。以上の諸変化にもかかわらず,江戸期以来の問屋仲買,小売などの商人仲間は,自分たちの権益を守るためにアウトサイダーの同業仲間への加入を制限したり,部外者が同業を営むのを妨害したりした。…

※「商法大意」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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