日本大百科全書(ニッポニカ) 「商法大意」の意味・わかりやすい解説
商法大意
しょうほうたいい
商法司が商法会所を設立するため1868年(慶応4)5月に布達した5か条からなる方針のこと。商法会所は、維新期の経済混乱と金融難を救うため、旧来の商品流通機構を改革し、その必要資金を供給することを目的としたものである。商法大意では、商品引当ての太政官札(だじょうかんさつ)を貸し付けてその流通を図るために、それまで株仲間組織を形成していた株数制限の撤廃や冥加金(みょうがきん)上納の廃止に加えて、株仲間制度の改編を打ち出した。しかしこれは旧来の株仲間解散というよりは、株仲間の組織外の商人をも含めた再編であって、彼らを商法会所の規制下に組み入れようとするねらいをもつものであった。しかし、不換紙幣である太政官札の流通は困難を極め、幣制の混乱を招いたため、イギリス公使パークスの抗議をはじめ、当時の先進資本主義国からの圧力を受けて、この方針は変更を余儀なくされた。
[加藤幸三郎]