ことわざを知る辞典 「噂をすれば影がさす」の解説 噂をすれば影がさす 人の噂をしていると、不思議に当人が姿を現す。 [使用例] 主人の代理に迷亭の悪口をきいて居ると、噂をすれば陰の喩たとえに洩れず迷亭先生例の如く勝手口から飄然と春風に乗じて舞い込んで来る[夏目漱石*吾輩は猫である|1905~06] [使用例] 知子「こんにちは」 〈静子が出てくる〉静子「まあ、噂をすれば影って本当ね。今、お姑かあさんと知子さんのこと話してたとこ」知子「母さん、いるの?」静子「今日はお料理学校のない日だもの。お姑さん、お喜びになるわよ。心配してらしたのよ。さ、上がってちょうだい」[橋田壽賀子*となりの芝生|1976] [解説] 会話では、最後まできちんということはあまりなく、「噂をすれば影」でとどめたり、「噂をすれば何とやら」とぼかしていうことの多い表現です。この「影」は人影のことで、「影がさす」で姿がちらりとみえるという意味になります。 噂をしていた人物が、ちょうどその時に現れると、現代では、不思議に思いながらも偶然と考えるのがふつうでしょう。しかし、かつては目の前にいない人のことをあれこれいうと、何かことばの不思議な力が働くと半ば信じられていました。こうした感覚は、外国の類例をみると、他の言語にも共通するようです。 [類句] 呼ぶより謗そしれ 〔英語〕Talk (Speak) of the devil, and he is sure to appear.(悪魔のことを話すと必ず姿を現す) 〔中国〕説曹操、曹操就到(曹操〔三国時代の魏の始祖〕の噂をすれば曹操がやって来る) 〔朝鮮〕호랑이도 제 말하면 온다(虎の話をすると虎がやって来る) 出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報