日本大百科全書(ニッポニカ) 「四か国協定」の意味・わかりやすい解説
四か国協定
しかこくきょうてい
Four-Power Pact
1933年6月7日にローマで仮調印され、7月15日に正式調印されたイギリス、フランス、ドイツ、イタリア間の協定。ムッソリーニがベルサイユ体制の改訂を促進し、イタリアの国際的地位を高める目的で提議した。イタリアの草案は、(1)平和維持のための4国の政策の一致、(2)国際連盟の枠内でベルサイユ条約の改訂を確認する、(3)軍縮会議でドイツの軍備平等権問題が全面的に解決しない場合、4国は段階的にこれを認め、オーストリア、ハンガリー、ブルガリアにも適用する、(4)4国は植民地問題についても共通の方針を採択する、(5)期限を10か年とする、という内容であった。イタリア草案は、フランス、ポーランド、小協商諸国の強い反対により大幅な修正を受けた。調印された協定は、(1)連盟の枠内ですべての国と協力する、(2)規約第10条、第16条、第19条を検討する、(3)軍縮会議の成功のために尽力する、などの抽象的な内容で、批准されなかったため未発効に終わった。
[植田隆子]