国指定史跡ガイド 「四天王寺旧境内」の解説
してんのうじきゅうけいだい【四天王寺旧境内】
大阪府大阪市天王寺区四天王寺にある寺院。『日本書紀』によれば、四天王寺は593年(推古天皇1)に難波荒陵(あらはか)の東にあたる現在の地に造営された聖徳太子建立の七大寺の一つとされる。寺域内の五重塔・金堂・講堂・鐘楼・鼓楼・食堂・中門・南大門・回廊などの主要建造物は長い歴史のなかで雷火、火災、地震、風害、争乱による兵火など幾多の災害に遭いながらも、復興と再建を繰り返し、創建時の伽藍(がらん)が守られてきた。配置は大陸の伽藍配置の模倣で、いわゆる四天王寺式として仏教建築の一基本をなした。旧境内は飛鳥時代の尺度である高麓尺で、1000尺四方と実測されていることから、創建当時の規模をとどめていると考えられている。境内からはしばしば飛鳥時代の古瓦が発見されている。1945年(昭和20)に諸堂塔がほぼ灰燼に帰し、今日その壮大な伽藍建築を見ることはできないが、境内は創建当時の規模を伝え、寺院建立の契機や目的、さらに日本の歴史と深くかかわることから、1951年(昭和26)に国の史跡に指定され、1956年(昭和31)には旧境内に当たる南面の道路敷きも追加指定を受けた。地下鉄谷町線四天王寺前夕陽ヶ丘駅から徒歩すぐ。