風害(読み)フウガイ

デジタル大辞泉 「風害」の意味・読み・例文・類語

ふう‐がい【風害】

強風旋風つむじかぜ竜巻などによる被害。
[類語]災害災難災い被害禍害惨害惨禍災禍被災天変地異天災人災地変風水害冷害霜害雪害干害渇水旱魃水涸れ病虫害虫害煙害公害薬害災厄凶事禍根舌禍筆禍試練危難国難水難水禍海難受難遭難罹災貧乏くじ馬鹿を見る弱り目にたたり目泣き面に蜂

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精選版 日本国語大辞典 「風害」の意味・読み・例文・類語

ふう‐がい【風害】

  1. 〘 名詞 〙 暴風やつむじ風などによってこうむる害。風損風災
    1. [初出の実例]「冬季の雪虐、春季の風害、夏季の冷殺、秋季の風饕(タウ)」(出典時事新報‐明治三六年(1903)三月六日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風害」の意味・わかりやすい解説

風害
ふうがい

強い風による風圧で生ずる直接の被害と、強風に伴って生ずる間接的な被害とがある。強い風は、日本の場合、台風によるものがもっとも多く、ついで冬の北西の季節風、発達した低気圧、そのほか竜巻(たつまき)や「おろし」など局地的なものがある。

 風圧は風速の二乗に比例するから、風速が増大すると風圧は急激に大きくなる。また「風の息」といって、風は短い周期で強くなったり弱くなったりしている。もっとも強くなったときの風速を瞬間風速、10分間平均したものを平均風速という。普通、瞬間風速は平均風速の1.5倍くらいであるが、海上ではこれより小さく、都会などではこれより大きい。

 家屋に被害が出るのは、だいたい平均風速で毎秒20メートルくらいからで、25メートルを超すと大きな被害が出る。30メートルを超すと電柱は倒れ、50メートル以上では家も樹木も倒壊する。60メートルを超すと送電線鉄塔は折れ曲がる。1978年(昭和53)2月28日の夜、東京の荒川の鉄橋上で、36トンもある電車の車両が吹き倒されたが、このときの最大瞬間風速は52メートルで、竜巻に伴う強風であった。大きなものの倒壊は、単に風圧だけでなく、物体の固有振動が風の息の周期と一致することも大きな原因となる。

 強風に伴う被害としては、高潮、風浪潮風フェーン、風食などによる海難、火災農作物の被害などがある。風害の大きかったのは、1934年(昭和9)9月21日の第一室戸(むろと)台風、1954年(昭和29)9月26日の洞爺丸(とうやまる)台風、1959年9月26日の伊勢湾(いせわん)台風による強風の被害をあげることができる。

[安藤隆夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「風害」の意味・わかりやすい解説

風害 (ふうがい)
wind damage

異常に強い風によって生ずる被害の総称。風の強さは普通10分間平均風速で示されるが,最大瞬間風速で示されることもある。日本の気象官署では前者で約70m/s,後者では約85m/sの記録がある。建物などの場合には風速の2乗に比例する風圧が破壊と関係が深く,また一様な風よりは,風の乱れあるいは風の息が被害を増大させることが知られている。また風の息の周期が建造物の固有振動周期に近いときは共振を生じて破壊されることが多いので,高層建物やつり橋などの設計に際しては,自然の風の周期と異なった振動周期をもつように設計されるのが普通である(耐風設計)。風害は建物,樹木などに直接破壊を生ずる以外に,高潮や高波あるいは塩害を生じて間接的に大きな被害を生ずる場合もある。

 風害を生ずるような強い風の原因は,日本の場合は,冬の千島付近の発達した低気圧と夏の台風である。ともに強風域は広い範囲に及ぶが,台風の場合にはとくに強いのは台風の眼の外側の比較的狭い範囲で,しかも台風進路の右側が一般に強い。また,季節風や台風の風は一様に吹くのではなく,地形の影響で,山裾や谷沿い,峠の風下など狭い地域に集中して吹くことがあり,広戸風,清川だしなどのように,風の吹きやすい場所が決まっているところもある。一方,竜巻やダウンバーストなどのように,台風などよりはるかに空間スケールの小さい気象現象に伴う強風もある。最近では高層建築物の周辺に局部的に強風が生ずるビル風があり,人工的なものなので公害問題となる場合もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風害」の意味・わかりやすい解説

風害
ふうがい
wind damage

風による災害をさし,暴風竜巻突風などの災害のほかに,乾風害,塩風害などがある。風害を原因別に分類すると,強烈な風圧やそれに伴う風速の乱れ(風の息)などに関係するものと,風が運搬する物質や物体に関係するものがある。前者には建築物の損壊,車両船舶の転覆,樹木の倒伏などがあり,後者には農作物に被害を与える異常に乾燥した乾燥風害,海面の風浪のしぶきが内陸に運ばれる塩風害などがある。火災の延焼拡大も風害の一つである。

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百科事典マイペディア 「風害」の意味・わかりやすい解説

風害【ふうがい】

風による災害。日本では台風,春に発達する低気圧などの暴風による災害,またそれらに伴う激浪やうねりによる災害が大きい。長期にわたって広範囲に吹く冬の季節風は海上の遭難をよく起こす。これらのほか,竜巻(たつまき),局地的突風の災害,フェーンなどによる乾風害,塩害などがある。農作物の風害では,特に台風によるイネの被害が大きい。

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世界大百科事典(旧版)内の風害の言及

【耐風設計】より

…風洞内に実際の風(実風)に相似な風を再現し,数百分の1の縮小模型を用いて振動の発生機構,振動により構造骨組みに加わる力の量的評価がなされる。 建物自体の耐風安全性の問題とは別に,建物周辺の風害対策も耐風設計の一課題である。地表面に比べて建物頂部では風速が一般に大きくなることから,建物頂部付近の高風速の風が建物の外壁に沿って地上へ導かれることにより,高層建物の周辺では風害が生ずることがある。…

※「風害」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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