四無量心(読み)シムリョウシン

デジタル大辞泉 「四無量心」の意味・読み・例文・類語

し‐むりょうしん〔‐ムリヤウシン〕【四無量心】

仏語。仏が一切の衆生しゅじょうに対してもつ、無限で平等な4種の哀れみの心。慈無量心・悲無量心・喜無量心・捨無量心。

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精選版 日本国語大辞典 「四無量心」の意味・読み・例文・類語

し‐むりょうしん‥ムリャウシン【四無量心】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。無量の衆生に対して、楽を与え、苦を除かせようとして起こす四つの心。すなわち、楽しみを与える慈無量心、苦しみを除く悲無量心、他人の楽を喜ぶ喜無量心、他人に対して愛憎の心がなく平等である捨無量心の四つ。四等心。四無量。
    1. [初出の実例]「有漏の禅定の上に慈悲喜捨の四無量心を修行せる人也」(出典:日蓮遺文‐法蓮鈔(1275))
    2. [その他の文献]〔大智度論‐二〇〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四無量心」の意味・わかりやすい解説

四無量心
しむりょうしん

仏教において説かれる徳目一つ。四等(しとう)、四梵住(しぼんじゅう)などともいう。あまねく世界に限りなく及ぼされるべき四つの心。慈、悲、喜、捨の四つをさす。慈とは他者への慈しみ、悲とは他者へのいたわり、喜とは他者の喜びを己(おの)が喜びとすること、捨とはいっさいの感情を離れて他者のすべてを平等にみること。

[松田愼也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四無量心」の意味・わかりやすい解説

四無量心
しむりょうしん
catur-apramāṇa

仏が4種の方面に心を限りなく配ること。 (1) あらゆる人に深い友愛の心を限りなく配ること (慈無量心) ,(2) あらゆる人と苦しみをともにする同感の心を限りなく起すこと (悲無量心) ,(3) あらゆる人の喜びをみてみずからも喜ぶ心を限りなく起すこと (喜無量心) ,(4) いずれにもかたよらない平静な心を限りなく起すこと (捨無量心) 。

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世界大百科事典(旧版)内の四無量心の言及

【慈悲】より

…慈悲という仏教的な愛の精神は,基本的には自己は無我であると悟るところにあらわれる自他不二の精神から起こる。その精神が具体化されたものが,大乗における六波羅蜜の実践行であり,慈悲を本質とする阿弥陀,あるいは慈悲の権化といわれる観音菩薩であり,大乗・小乗に共通な四無量心といわれる修行法である。四無量心は慈・悲・喜・捨の4段階からなり,慈・悲は前2段階を構成する。…

※「四無量心」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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