1変数の多項式f(x)=a0xn+a1xn⁻1+……+anは,f(α)=0となるとき,かつそのときに限りx-αで割り切れる。これを因数定理と呼ぶ。例えば,f(x)=x3-6x2+11x-6について,f(1)=0であるから,f(x)はx-1を因数にもつ。因数定理は剰余定理の特別な場合であり,多項式の因数分解を求めるとき使われる。
多変数の多項式,例えば,x,y,zを含む多項式g(x,y,z)についても,xを変数と考えると,因数定理が成り立つ。y,zの多項式h(y,z)について,g(h(y,z),y,z)=0のとき,かつそのときに限りg(x,y,z)はx-h(y,z)で割り切れる。例えば,g(x,y,z)=x3+x2z-x2y+xy-xyz-y2でxにyを代入すると,g(y,y,z)=y3+y2z-y3+y2-y2z-y2=0となるから,g(x,y,z)はx-yで割り切れる。
執筆者:杉江 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
xの整式f(x)が一次因数x-αをもつための必要十分条件はf(α)=0である。これを因数定理または整除定理という。たとえば、
f(x)=2x3-5x2-4x+3
において、f(3)=0だから、f(x)は因数x-3をもつ。事実、
f(x)=(x-3)(2x2+x-1)
となる。また、
f(x)=x4+ma2x2-5a3x+a4
がx-aで整除される(割り切れる)ようにmの値を定めたいとき、f(a)=0と置くと、
(m-3)a4=0
すなわちm=3またはa=0を得る。aがゼロのときは明らかに成り立つ。m=3のときは、
f(x)=(x-a)(x3+ax2+4a2x-a3)
となる。
因数定理は因数分解や方程式(三次以上)の解法に応用される。たとえば三次方程式における三次式の一次因数が求められれば、ほかの2根は二次方程式を解いて求められる。因数定理の一般化として、余りの(剰余)定理がある。すなわち、「xの整式f(x)を一次式x-αで除したときの余り(定数)はf(α)に等しい」。
[竹内芳男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…とくにf(a)=0のとき,f(x)はx-aで割りきれる。この場合を因数定理と呼んでいる。一般にn変数x1,……,xnの多項式,f(x1,……,xn)についてf(x1,……,xn)をx1の多項式と考えると,x1の一次式x1-g(x2,……,xn)でf(x1,……,xn)を割ったときの余りはf(g(x2,……,xn),x2,……,xn)で与えられる。…
※「因数定理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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