囲船(読み)かこいぶね

精選版 日本国語大辞典 「囲船」の意味・読み・例文・類語

かこい‐ぶね かこひ‥【囲船】

〘名〙
戦国時代水軍が主用した軍船の一つ。乗組の兵士や水手(かこ)を守るため、船体上部を堅木などで装甲した船で、安宅船盲船関船などがこれに属する。
信長公記(1598)六「明智十兵衛囲舟を拵へ」
長期にわたり使用しないため、陸に引き上げて筵(むしろ)、苫(とま)などで囲い腐朽しないようにしてある和船
※酒田湊御用留(1793)「出帆難相成奉存候に付〈略〉来春迄囲船に相成可申」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「囲船」の意味・わかりやすい解説

囲船
かこいぶね

(1) 日本の戦国時代に確立した軍船の一形式で,乗組みの兵士や漕ぎ手を敵の攻撃から守るため,船体上部を装甲で固めた矢倉で囲った船をいう。安宅船 (あたけぶね) ,関船,盲船などがこれに相当する。 (2) 使わない船をいたまないようにむしろやとまで囲った船。特に冬季の日本海では海が荒れるため一般廻船は航行せず,翌年春まで適宜港湾で囲船をしたが,陸上に引上げる場合と,浮かべたまま囲う場合とがあって,後者を浮囲 (うきがこい) と呼んで区別した。

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