国境税(読み)こっきょうぜい(その他表記)border tax

共同通信ニュース用語解説 「国境税」の解説

国境税

米国の与党共和党が国内製造業の復活と雇用拡大を目的に提案した構想で、正式には「法人税の国境調整」という。輸入代金を経費と認めずに法人税の課税対象とする一方輸出による収入免税にするため、輸入企業には増税、輸出企業は減税となる。輸入製品が値上がりし、国民生活に打撃を与える恐れがあるほか、世界貿易機関(WTO)が禁じる「輸出補助金」に該当するとの指摘もあった。(ワシントン共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国境税」の意味・わかりやすい解説

国境税
こっきょうぜい
border tax

輸出入により商品が国境を出入りする際に賦課あるいは還付される租税。輸入品に対し国内産品と同率の消費税の全部または一部を課す輸入調整税と,輸出品に対し国内で課せられた消費税の全部または一部を還付する輸出戻し税とがあり,国境税調整ともいわれる。消費税は消費地で課税されるべきであるとする仕向け地課税主義に基づくものであり,国内の消費税率の範囲内で調整されるかぎり無差別貿易の原理に抵触せず,ガット GATTの規約違反にはならないとされている。しかし,この税制は輸出に輸出補助金を与え,輸入に非関税障壁を設けるのと同じ効果をもち,輸入抑制,輸出促進の効果がある。さらにヨーロッパ連合 EU諸国のように間接税の比重の大きな国に有利であり,アメリカや日本のように直接税中心の国にとって不利であるので,1968年に EUの前身ヨーロッパ共同体 ECがこの税制を採用して以来,アメリカは貿易自由化の原則に照して撤廃すべきであると主張している。

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