国または地方公共団体が,一方的な意思表示によって,いったん成立した納税義務の全部または一部を解除し,これを消滅せしめることを,納税義務の免除ないしは免税という。〈災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律〉(1947公布)によって所得税等が免除されるのは,その一例である(地方税法45条,72条の62,162条,323条,367条などによる減免も同旨)。免除の形式には,納付すべきまたは徴収すべき税額の免除,納付ずみまたは徴収ずみの税額の還付(前出の災害減免法3条2項),以後の納付すべき税額からの控除(7条1項)等がある。免除の是非につき税務行政庁の裁量が認められる場合(国税通則法63条1項但書)と,一定の要件を充足するときは税務行政庁は免除しなければならない場合(同条同項本文,同条2項)とがある。免税は,課税除外(非課税)のように最初から課税対象から除外される場合と異なる。
執筆者:村井 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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