国家社会党(読み)こっかしゃかいとう

改訂新版 世界大百科事典 「国家社会党」の意味・わかりやすい解説

国家社会党 (こっかしゃかいとう)

1905年,山路愛山斯波貞吉,中村太八郎らによって結成された政党。日露戦争後,平民社への弾圧契機日本社会党を結党したグループに対抗して創立された。〈大日本ノ国家ハ家人父子ノ情ヲ以テ君臣ヲ団結シ国家ノ権力ニ依リテ共同生活ノ大義ヲ遂行スルニ在リ〉と主張し,また義務教育,労働者の保護,都市社会政策の採用等の目標を掲げたが,〈産業の保護発達〉という主張は平民社の雑誌《直言》の強い批判を受けた。代表格の山路が《社会主義管見》の中で階級闘争を否定して堺利彦と論戦したように,それは社会主義政党ではなく社会政策の徹底化による社会改良を目標とした組織であった。しかし06年2月普通選挙全国同志大会に参加し,3月には日本社会党とともに東京市電値上反対運動にも積極的に取り組んだが,運動の最盛期示威行進を行うことに反対して脱会した。日本社会党の禁止とともに力を失い,1910年解散した。
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世界大百科事典(旧版)内の国家社会党の言及

【山路愛山】より

…そのころ海老名弾正の自由主義に一時共鳴。1905年斯波貞吉,中村太八郎らと国家社会党(‐1910)を結成し,家族国家論を基礎とした社会改良を唱え,06年普選運動や東京市電車賃値上げ反対運動を推進した。《現代日本教会史論》(1906),未完の《日本人民史》(1913)ほか,史論が多い。…

※「国家社会党」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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