国連地名標準化会議(読み)こくれんちめいひょうじゅんかかいぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連地名標準化会議」の意味・わかりやすい解説

国連地名標準化会議
こくれんちめいひょうじゅんかかいぎ

地名などの呼称を国際的に統一するための指針を決める国際会議。英語の名称はUnited Nations Conferences on the Standardization of Geographical Namesで、略称UNCSGN。地名の統一、用語の定義、表記の方式、国際協力、資料交換、文献目録の作成などについて、技術的観点から専門家による議論を行うため、1967年に、スイスジュネーブで第1回会議(日本政府は不参加)を開催した。以来、原則として5年ごとに、国連経済社会理事会の下部機関である統計委員会によって開催されている。なお国連地名標準化会議は個々の呼称統一問題を取り扱う場ではなく、たとえば、個々の海洋の呼称統一などの問題は国際水路機関で議論し、認定することになっている。この認定呼称を国連地名標準化会議も使用している。

 韓国と北朝鮮は国連加盟後の1992年(平成4)の第6回国連地名標準化会議で、日本列島とユーラシア大陸に囲まれた海域を「日本海(Sea of Japan)」とするのは植民地政策によって日本から押し付けられたものだと主張。「東海(East Sea)」などに改めるか、併記するよう要求した。これに対し日本政府は日本海は18世紀から19世紀のヨーロッパの世界地図にも表記されており、歴史的、国際的に定着した名称であると反論した。韓国と北朝鮮はその後も1998年(第7回)、2002年(第8回)、2007年(第9回)、2012年(第10回)の国連地名標準化会議で日本海の名称変更について繰り返し主張している。なお国連は2004年、日本政府からの照会に対し、公式文書では標準的地名として「日本海」が使用されなければならないと回答している。

 このほかにも、世界には周辺国間で呼称の異なる地名・海域などが多数ある。南シナ海について、中国は「南海」、フィリピンは「西フィリピン海」とよんでいるほか、ペルシア湾をアラブ諸国は「アラビア湾」とよび、バルト海をドイツでは「オスト海」と呼称している。航海の安全確保などのために、国際水路機関が認定呼称を定めているが、各国に使用を義務づける強制力はなく、呼称の統一問題は周辺当事国間の調整に任されているのが実態である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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