数学の問題を解く能力を競う国際大会。国際科学オリンピックの一つである。略称IMO。20歳未満で、大学教育を受けていない者が対象。数学的な才能に恵まれた若者をみいだし、若者や教育関係者同士の国際交流を深めながら、才能を伸ばす手助けをすることを目的としている。第1回大会は1959年にルーマニアで開かれ、以降毎年7月に約10日間の日程で行われている。2008年以降は、100前後の国と地域から500人を超える選手が参加している。大会は参加国の持ち回りで開催されており、各国は国内コンテストなどで選考された6人以内の代表選手を派遣することができる。日本は1990年に54か国が参加して開かれた第31回北京(ペキン)大会に初めて選手団を派遣し、2003年(平成15)には日本で初めての大会が東京で開かれ、82の国と地域が参加した。
競技は、参加国があらかじめ提案している問題のなかから6問が選ばれ、選手は1日3問ずつの合計6問を2日間で解く。問題の内容は、世界各国の高等学校程度の知識を前提にした応用問題で、整数問題、幾何、組合せ、式変形などから出題される。両日ともに1問目から徐々に難度が高くなっていく。配点は1問7点で、満点は42点。6問の合計点により、参加者のおよそ半数がメダルを受け、金、銀、銅の割合は1:2:3である。正答が4問で金、3問で銀、2問で銅が授賞の目安となっている。なお、国別ランキングは選手団が獲得した得点の合計で決められる。
日本における国際数学オリンピックへの派遣事業は、公益財団法人数学オリンピック財団によって行われている。財団では国際数学オリンピックに関連し、日本代表選手の選抜大会である日本数学オリンピック(JMO:Japan Mathematical Olympiad)のほか、日本ジュニア数学オリンピック(JJMO:Japan Junior Mathematical Olympiad)、アジア太平洋数学オリンピック(APMO:Asian Pacific Mathematics Olympiad)などを開催している。
[編集部]
(桂利行 東京大学大学院教授 / 2008年)
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