日本大百科全書(ニッポニカ) 「土俵祭り」の意味・わかりやすい解説
土俵祭り
どひょうまつり
大相撲(ずもう)本場所の前日に行う「土俵開き」のこと。「天長地久、五穀豊穣(ほうじょう)」を祈願する儀式で、脇(わき)行司2人の「清め祓(ばら)い」に始まり、司祭の立(たて)行司1人が「祝詞(のりと)」をあげたあと、四房の下に各季節(春夏秋冬)の神々を祭り、神酒(みき)を捧(ささ)げ、正面の3本の幣(へい)を三行司が持って控えに帰る。立行司は「故実(こじつ)」(土俵祭りの由来)を述べ、土俵中央の穴に「萱(かや)・勝栗(かちぐり)・昆布(こんぶ)」の縁起物を納める。協会理事長、審判部の親方衆、三役以上の力士、全行司が出席する。役員参列者は神酒をいただき、式典は終わる。一般のファンも見学できる。土俵祭りは、新しく築いた土俵を清めて邪気を払い、興行が無事に終了するよう、また力士にけががないよう祈願する目的もあり、江戸時代から神道(しんとう)の古式にのっとって行われる。
[池田雅雄・徳増信哉 2019年12月13日]