土地改良機械(読み)とちかいりょうきかい

改訂新版 世界大百科事典 「土地改良機械」の意味・わかりやすい解説

土地改良機械 (とちかいりょうきかい)

耕地の物理性を改善して生産力を高めるための機械の総称で,心土破砕,混層耕,もぐら暗きょ敷設,排水溝掘削,石礫(せきれき)除去,抜根,均平などの作業を行う機械をいう。これらの機械の中には,耕地の開墾造成のときに用いられるものもある。

 心土破砕機は固結した心土を破砕して作物の根の伸長を助けるもので,プラウの下部に心土破砕用の刃をつけた心土耕プラウと呼ばれる型のものと,のみ形の刃をそなえた心土破砕専用の機械とがある。サブソイラー,またはパンブレーカーとも呼ばれる。通常は30~40cm前後の深さのところを破砕する。

 混層耕プラウは,圃場(ほじよう)の比較的深いところに作物の生育に適した土層があり,その上に不良土層があって生産性が低い場合,この両層を破砕混合する特殊なプラウで,通常少なくとも50~60cmの深さを耕せる大きなプラウである。円板形のものもある。

 もぐら暗きょせん孔機は,排水不良の耕地にもぐら穴のような暗きょを通す機械で,弾丸状の刃を通し暗きょを作る。押し固められた土の壁がくずれるのを防ぐため,プラスチック多孔管をあとから引き込んだり,あるいはもみがらを圧入したりするものもある。通常数十馬力のトラクターで牽引するが,振動式せん孔機は20馬力前後のトラクターで作業することができる。

 溝掘機は排水のための開きょを掘削したり,暗きょ管を埋設するための溝を掘ったりする機械で,比較的浅い溝を掘るものはディッチャーと呼ばれ,プラウ型のものとロータリー型のものとがある。深い溝掘りにはトレンチャーが用いられる。

 石礫除去機は石の多い圃場から石礫をとり除く専用機である。大きな石や木の根などの圃場障害物を除去するにはレーキドーザーがよく使われる。

 均平機は圃場の表面をならして,播種(はしゆ)作業などが円滑に行われ,灌漑水が均等に行き渡るようにするためのもので,排水板をつけたブルドーザーがよく用いられるが,大規模の均平作業には,スクレーパースクレープドーザーランドプレーンが用いられることもある。スクレーパーやスクレープドーザーは掘削し,余った土を運び去るもので,一般には造成に用いられる。ランドプレーンは水田内の大型均平機械で5m近い幅で土を浅く削り低いところに押していってならすものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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