日本大百科全書(ニッポニカ) 「トレンチャー」の意味・わかりやすい解説
トレンチャー
とれんちゃー
trencher
幅の狭い、比較的深い溝を掘削する機械の総称で、農業や建設業で用いる。構造から次のように分類され、それぞれに自走式とトラクター搭載式のものがある。
(1)ラダーチェーン式 チェーンに掘削用の爪(つめ)を取り付け、回転させながら溝を掘る。農業では、主としてゴボウやナガイモの掘り取りなどに用いる。掘削幅は11~46センチメートル(掘削爪の交換による)、掘削深さは最大1.3メートル。
(2)バケットチェーン式 ラダーチェーンの掘削爪のかわりにバケットとよばれる容器を取り付けて土をすくい上げるもので、柔軟地の溝掘りに利用される。掘削幅は最大20センチメートル、掘削深さは最大1.5メートル。
(3)オーガー式 爪を螺線(らせん)状に配置した垂直回転軸(オーガー)を土中に位置させ、回転させながら移動することによって、断面が逆台形状の溝を掘る。掘削深さは最大1メートル。
(4)ロータリー式 直径25センチメートル~1メートルの円盤の周囲に爪を付け、回転させて溝を掘る。掘削幅は16~20センチメートル、掘削深さは60センチメートル~1.2メートル。
農業では根菜類の掘り取り、水田の暗渠(あんきょ)排水用の溝掘り、果樹園や茶園での深層施肥溝掘り、ビニルハウス内の深耕(天地返し)などに利用される。建設工事での利用は、上下水道工事、建築基礎の溝掘りなどで、一般にチェーン式の機械が多用されている。
[八木 茂]