地蔵田遺跡(読み)じぞうでんいせき

国指定史跡ガイド 「地蔵田遺跡」の解説

じぞうでんいせき【地蔵田遺跡】


秋田県秋田市御所野にある旧石器時代、縄文時代中期、弥生時代の集落跡。地蔵田遺跡は秋田平野中央部に位置する、秋田新都市開発整備事業にともない、1985年(昭和60)に発掘調査を行い、周囲を木柵で囲んだ弥生時代前期の集落跡が発見された。1996年(平成8)に国指定史跡となった。居住区の周囲を木柵で楕円形に囲み、その周辺に墓域および不用品の廃棄場が配されて、弥生時代の西日本の環濠集落の基本的な構造を備えていた。ただし、木柵がめぐる集落は全国的に見ても珍しい。墓域と考えられるところからは、2つの土器を組み合わせた5種類の土器棺墓25基、土坑墓51基が発見された。遺跡全体としては、凝灰岩製の小玉、碧玉(へきぎょく)製の玉、凝灰岩製の管玉(くだたま)、玉髄製の勾玉(まがたま)、ベンガラ、甕(かめ)形土器、鉢形土器、高坏(たかつき)形土器などの土器、石斧(せきふ)、石鏃(せきぞく)、磨石、玉類などの石器類や石製品、有孔土製品、土偶紡錘車などの土製品など多種多様な遺物が出土している。とくに土器棺に使用された壺形の土器は、西日本の前期弥生土器に共通する遠賀(おんが)川系土器であり、この集落が前3世紀の弥生時代前期に成立し、初期の稲作農耕文化を受容したことを示している。すなわち、弥生時代前期に、初期の稲作農耕文化を携えた人々が他所から移り住んでできた弥生集落だった可能性がある。遺跡は御所野総合公園内にあり、弥生っ子村として整備されている。JR秋田新幹線ほか秋田駅から秋田中央交通バス「秋田テルサ入口」下車、徒歩約2分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報