地質断面図(読み)ちしつだんめんず(その他表記)geological cross section

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地質断面図」の意味・わかりやすい解説

地質断面図
ちしつだんめんず
geological cross section
geological profile

地下地質構造を表現するためにくふうされた断面図。地質図に添えられ、地質図と同じ模様や色で表示されることが多い。普通、一般走向方向に直交する垂直断面が地形断面とともに示される。鉱山やダムの建設現場では、いろいろな高さの水平断面図も用いられる。褶曲(しゅうきょく)の研究では、褶曲軸に直交する断面図(褶曲軸が傾いている場合には垂直とは限らない)をつくり、形態を論ずることもある。地表のデータから地下の状態を推定するので、地層の厚さがどこでも一定であるとか、地層の走向・傾斜が地下でも変わらないとかの仮定を設けて作図する。ボーリングや地震探査などのデータがあれば、より正確になる。褶曲や断層変形を元に戻したときに、地層が堆積(たいせき)した状態に復原できることを確認してあるものは、バランス断面図という。

 なお、地層の走向と断面線が斜交する場合には、地層の見かけの傾斜は真の傾斜よりも緩やかになる。また、一般に構造を見やすくするために、垂直方向を誇張することが多い。このときは逆に、見かけの傾斜が急になるから注意を要する。

岩松 暉・村田明広]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地質断面図」の意味・わかりやすい解説

地質断面図
ちしつだんめんず
geological profile

地質図もとに地下の地質構造を垂直的に図示したもの。地質断面図を合せると,その地質の地質構造などが立体的に判読できるので,その地域地史を読取ることが容易になる。地下資源採鉱,探鉱ならびに土木工事などにも活用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の地質断面図の言及

【地質図】より

…色彩,模様,記号については国際的な慣習と申合せがあり,図面の余白に凡例として明記する。 地質図は地質調査により作成されるが,立体的な分布状態の判断を助けるために,地質図上の任意の線に沿った垂直断面を切り,その上に各単位の地下における分布状態を表示した地質断面図が,地質図に添付される。同時に,説明書,報告書,論文などによって,詳細な説明がなされることが多い。…

※「地質断面図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android