垂涎(読み)スイゼン

デジタル大辞泉 「垂涎」の意味・読み・例文・類語

すい‐ぜん【垂×涎】

[名](スル)《「すいせん」とも》
食べたくてよだれを垂らすこと。
ある物を手に入れたいと熱望すること。「垂涎の的」
人形着物にばかり眼をつけてさっきからしきりに―している」〈谷崎蓼喰ふ虫
[補説]慣用読みで「すいえん」とも。

すい‐えん【垂×涎】

[名](スル)すいぜん(垂涎)」の慣用読み。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「垂涎」の意味・読み・例文・類語

すい‐ぜん【垂涎】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すいせん」とも。「すいえん」は慣用よみ )
  2. (よだれ)をたらすこと。また、たれた涎。
    1. [初出の実例]「非是折腰関斗米、唯因借眼垂涎」(出典:玩鴎先生詠物百首(1783)海鰕)
    2. 「葛粉団子(くずこだんご)と山芋汁は、其名既に山村美食家の垂涎を曳きぬ」(出典:帰省(1890)〈宮崎湖処子〉七)
    3. [その他の文献]〔記‐巻上〕
  3. ある物を手に入れたいと強く思うこと。
    1. [初出の実例]「地勢良好にして物産饒多なれば、西洋諸強国の久しく此国に垂涎するは至て明白なることなり」(出典:日本道徳論(1887)〈西村茂樹〉一)
    2. [その他の文献]〔新書‐匈奴〕

すい‐えん【垂涎】

  1. 〘 名詞 〙すいぜん(垂涎)」の慣用読み。〔広益熟字典(1874)〕
    1. [初出の実例]「珍品数あるが中にも、最も人眼を引いて、骨董家をして垂涎(スヰエン)万丈ならしめたものは」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉三月暦)

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