塩化セシウム型構造(読み)えんかせしうむがたこうぞう(英語表記)cesium chloride structure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化セシウム型構造」の意味・わかりやすい解説

塩化セシウム型構造
えんかせしうむがたこうぞう
cesium chloride structure

一般式AX(Aは陽性元素、Xは陰性元素)で示される化合物にみられる結晶構造の一型式。塩化ナトリウム型とともに、イオン結晶の代表的な構造である。塩化セシウムCsClはアルカリ金属ハロゲン化物であるが、セシウムのイオン半径が大きいため、塩化ナトリウムなどとは異なる結晶構造をとる。塩化物イオンが立方体の角に位置し、立方体の中心にセシウムイオンが入る。等軸(立方)晶系、空間群Pmma=4.123Åの単位格子はセシウムイオン、塩化物イオン1個ずつを含む。臭化セシウムCsBrやヨウ化セシウムCsIなどの塩のほか、CuZnやAgCdのような金属間化合物もこの構造をとる。塩化物イオン、セシウムイオンがそれぞれ単純立方格子をつくっており、体心立方格子ではない。ハロゲン化アルカリの結晶構造は半径比ですべて説明できるわけではなく、温度と圧力によって塩化ナトリウム型と塩化セシウム型との間で転移するものも多い。

[岩本振武 2015年8月19日]


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