塩谷庄(読み)しおやのしよう

日本歴史地名大系 「塩谷庄」の解説

塩谷庄
しおやのしよう

平安末までには成立していたと思われる摂関家領。「しおのや」ともよばれた。庄域は不明であるが、郡名庄であることから、律令制下の塩谷郡のうち、当庄と前後して成立したと推定される氏家うじいえ郡を除いた地と考えられる。「吾妻鏡」文治四年(一一八八)三月一七日条によると、当時造営が進んでいた奈良東大寺の柱調達が思わしくなく、大勧進重源の要請を受けた後白河法皇の要望によって、源頼朝が年貢を同寺に寄進しようとした地に「中泉・中村・塩谷等庄」があり、平家没官地ではなかったが坂東のうちであるために、頼朝が知行してきたという。しかし調査の結果、右の三ヵ庄などは前摂政近衛基通の家領であることが判明し、年貢を同家に送るよう後白河法皇の院宣で命令されている(「吾妻鏡」文治四年六月四日条)。建長五年(一二五三)の近衛家所領目録写(近衛家文書)には「下野仲村庄仲泉・塩屋此内別郷也」とみえる。

開発・寄進の主体は塩谷氏と考えるのがごく自然であるが、一般的に塩谷氏といえば宇都宮頼綱の弟朝業が塩谷氏の祖とされる。しかし「吾妻鏡」によると朝業が本姓の宇都宮から塩谷にかわるのは、建仁三年(一二〇三)五月から建暦二年(一二一二)二月までの間であり、当庄が立庄されたと思われる平安末期とは大きなずれがある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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