墨染遊郭
すみぞめゆうかく
[現在地名]伏見区墨染町
墨染寺の門前に元禄(一六八八―一七〇四)頃に設けられた下級遊里。京都・伏見間を往来する商人や、伏見から大亀谷を経て山科(現山科区)から東海道を往還する旅人の気軽な遊び場として、江戸中期から明治にかけて賑った。「都林泉名勝図会」にも「深草里墨染花魁」として、往来で旅人の袖をひく遊女が描かれる。「東海道中膝栗毛」には、「墨染といへる所にさしかゝりけるが、爰はすこしの遊所ありて、軒毎に長簾かけわたしたるうちより、顔のみ雪の如く白く、青梅の布子に、黒びろうどのはんゑりまで、おしろいべたべたつけたる女、はしり出て、弥次郎が袖をとらへ」とみえる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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