外院庄(読み)げいんのしよう

日本歴史地名大系 「外院庄」の解説

外院庄
げいんのしよう

粟生外院あおげいんに位置した、比叡山浄土寺門跡を本所とする山門領庄園。山陽道(西国街道)から勝尾かつお寺に登山する旧表参道の登山口にあたる。勝尾寺の別院帝釈たいしやく寺があり、弥勒信仰により山上勝尾寺を都率内院とみなしたのに対して、山下帝釈寺を外院と称したのが地名の由来という。中世においては豊島てしま郡北条に属して、売券などに「豊島北条外院御庄」と記され(永仁四年一二月二一日「甘南井光永田地売券」勝尾寺文書、以下同文書については個別文書名のみ記す)、また仮名文書では「けいの庄」(貞治二年一〇月二六日番頭連署請文)、「にしけいのしやう」(同五年一二月二四日ちよくま女田地売券)などとあるから外院を「ゲイ」とよんでいたらしい。外院の地は「粟生外院」といわれることもあったように(弘安七年六月八日勝尾寺桜本坊領中分田畠注文)、隣接する粟生村と近い関係にあり、本来公領粟生村の一部だった地区が、天台別院総持そうじ(現茨木市)や勝尾寺とのかかわりで平安末期に山門領として分立、立庄されたもののようである。勝尾寺はその縁起にある行巡上人伝承で、清和天皇が上人の験力を賞して施入したという三ヵ庄の一つが外院であると考えており、また当庄年貢の上分七斗を勝尾寺四天王供用途として与えられ(文応元年一一月日勝尾寺衆徒等訴状案)、また寛元三年(一二四五)一二月に勝尾寺坂本に大鳥居を建立したときには、長さ三丈五尺、口径三尺五寸の鳥居柱二本を外院庄飯岡森の杉の大木を伐って造進したこともあった(勝尾寺毎年出来大小事等目録)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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