夜須町(読み)やすまち

日本歴史地名大系 「夜須町」の解説

夜須町
やすまち

面積:四五・四七平方キロ

朝倉郡西部に位置し、東は三輪みわ町・甘木市、西は筑紫野ちくしの市、南は小郡市、北は嘉穂かほ嘉穂町・筑穂ちくほ町と接する。英彦ひこ山・古処こしよ山地に続く北部山地は夜須高原と称し、筑紫野市域にかかる三郡さんぐん山地に連なっている。中央から南部にかけては山家やまえ川・曾根田そねだ川が形成する扇状地で、筑紫ちくし平野の北側に位置する。南にはしろ(一三〇・六メートル)の一山がそびえる。農地が総面積の約半分を占める。南部を国道三八六号が走り、県道山家西小田にしおだ線や三箇山さんがやま山隈やまぐま線が接続する。「夜須」の町名は、神功皇后が羽白熊鷲を滅ぼしたあと「我が心則ち安し」といったことから名付けられたという「安」の地名(「日本書紀」神功皇后摂政前紀)から命名。大宰帥大伴旅人が大弐丹比県守に贈った歌「君がため醸みし待酒安の野に独りや飲まむ友無しにして」(「万葉集」巻四)に詠まれた「安の野」は当地とされる。

夜須町
やすちよう

面積:三七・六八平方キロ

香美郡沿岸部東端に位置し、東は安芸郡芸西げいせい村と安芸市。町域は北東夜須川上流に向かって一五キロと細長く延びる。海岸を国道五五号が走り、坪井つぼいで分岐した県道撫川―夜須線が夜須川西岸沿いに縦貫する。町域は海浜と港湾に臨む漁業・商業地帯、上夜須かみやすまでの促成園芸地帯、上夜須以北の山村地帯に分けられる。同じ山村でも夜須川流域から北東へ峠を越えた羽尾はお沢谷さわたに仲木屋なかぎやの三地区は古くから隔絶した地で、別天地の趣がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報