日本大百科全書(ニッポニカ) 「嘉穂」の意味・わかりやすい解説
嘉穂
かほ
福岡県中部、嘉穂郡にあった旧町名(嘉穂町(まち))。現在は嘉麻(かま)市の南部を占める。旧嘉穂町は1955年(昭和30)大隈(おおくま)町と宮野、足白(あしじろ)、千手(せんず)の3村が合併して成立。2006年(平成18)稲築(いなつき)、碓井(うすい)の2町、山田(やまだ)市と合併し嘉麻市となった。旧嘉穂町域の南部は古処(こしょ)山(860メートル)、馬見(うまみ)山(978メートル)など三郡(さんぐん)山地南東端の山地が広がり、遠賀(おんが)川源流の嘉麻川(かまがわ)、千手川が細長い谷底平野を形成している。中心集落の大隈は日田(ひた)、秋月(あきづき)に通じる街道の分岐点に位置する宿場町として発達し、国道211号と322号が交差している。旧国鉄上山田線(かみやまだせん)はバスに転換。南部は山間農村地帯として稲作、野菜・果樹栽培、養鶏、酪農などが行われ、スギ材の生産も多い。筑後(ちくご)川県立自然公園に属し、カルスト地形がみられる古処山には特別天然記念物のツゲ原始林があるほか、麟翁(りんおう)寺、馬見神社、高木神社などの旧跡・古社寺が多い。益富(ますとみ)城跡は戦国末期の城跡で、自然公園として整備されている。
[石黒正紀]