大ノ瀬官衙遺跡(読み)だいのせかんがいせき

日本歴史地名大系 「大ノ瀬官衙遺跡」の解説

大ノ瀬官衙遺跡
だいのせかんがいせき

[現在地名]新吉富村大ノ瀬

求菩提くぼて山を源流とする佐井さい川右岸の低い台地上に立地する奈良時代の地方官衙跡。国指定史跡。発掘調査は平成七年(一九九五)から同九年にかけて実施され、八世紀前半から九世紀初頭にかけての豊前国上毛かみつみけ郡の郡衙政庁跡と考えられている。内郭は四面庇付の建物を正殿とし、その東に桁行の長い南北棟建物を脇殿として配するL字型の配置をとり、正殿の前面は広場としている。さらにこれらの建物を方約半町の四周を巡る柵列によって方形区画しており、柵列の正殿前面には四脚門を配する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「大ノ瀬官衙遺跡」の解説

だいのせかんがいせき【大ノ瀬官衙遺跡】

福岡県築上郡上毛(こうげ)町大ノ瀬にある官衙跡。犬ヶ岳の山並みを望む平野部に所在する、古代郡衙跡と考えられている遺跡。1995年(平成7)に行われた確認調査で、四面庇付大型建物や方形に区画する柵列などが発見された。その後の調査で遺跡の全容が把握できたことから、1998年(平成10)に国の史跡に指定された。主な遺構は、柵列による南北58.5m、東西53.4mの中心区画と、この区画の内外に規則的に配置された掘立柱建物群で、正殿、脇殿、四脚門などが確認された。出土遺物は、須恵器(すえき)・土師器(はじき)などのほか円面硯、緑釉(りょくゆう)陶器、瓦などだが、土器からみて、遺跡は8世紀前半から中ごろに成立し、8世紀末から9世紀初頭に廃絶したものと考えられている。遺跡は脇殿が1棟だけの構成だが、方形区画と建物の規模・配置から豊前国上毛郡衙政庁跡と考えられ、その全体的な構造が明らかになった貴重な遺跡といわれている。JR日豊本線吉富駅から車で約13分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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