セントルイス(読み)せんとるいす(その他表記)Saint Louis

翻訳|Saint Louis

デジタル大辞泉 「セントルイス」の意味・読み・例文・類語

セント‐ルイス(Saint Louis)

米国ミズーリ州の都市。ミシシッピ川ミズーリ川との合流点の近くにあり、水陸交通の要地。自動車・航空機・車両・造船や食品などの工業が盛ん。人口、行政区35万(2008)。

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精選版 日本国語大辞典 「セントルイス」の意味・読み・例文・類語

セント‐ルイス

  1. ( Saint Louis ) アメリカ合衆国中央部、ミズーリ州東部の都市。ミシシッピ川西岸、ミズーリ川・イリノイ川がミシシッピ川に合流する地点の下流にある。一八世紀、毛皮取引所を中心としてフランス人が建設し、以来、河港都市として発達した。穀物・畜産物・木材の集散地で、自動車、航空機、靴、ビールなどの工業もさかん。鉄道、ハイウェー航空路、内陸航路が集中する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セントルイス」の意味・わかりやすい解説

セントルイス
せんとるいす
Saint Louis

アメリカ合衆国、ミズーリ州の都市で、大都市圏人口では同州最大である。ミズーリ川とミシシッピ川の合流点より下流16キロメートルの西岸に位置する。市街地はミシシッピ川に沿って31キロメートルの長さで続き、河岸には港湾施設が並ぶ。人口34万8189、大都市圏人口260万3607(2000)。大都市圏人口は全米18位であるが、1970年代以降は市人口の減少が著しく、70~80年の減少率27.2%は、人口10万以上の主要都市中最大であった。80~90年の減少率は12.4%であったが、90~2000年では7.9%増加している。同市は第一次、第二次世界大戦後、イリノイ炭田などを背景にシカゴデトロイトに次ぐ内陸第三の工業都市に育った。また、現在17の鉄道、9本の高速道路が集まり、シカゴに次ぐ全米第二の交通都市でもある。自動車生産都市としても有名で、フォードゼネラル・モーターズクライスラー(現ダイムラー・クライスラー)各社の主力工場があるほか、全米最大の航空機会社ボーイング社の工場(1997年の合併以前はマクダネル・ダグラス社の本社工場)、世界最大クラスのビール会社アンハイザー・ブッシュ社の所在地としても知られる。また、かつて全米最大を誇った製靴会社インターコ社の所在地としても知られた。ほかに石油化学、鉄鋼、アルミニウムなどの工場も多い。現在も毛皮取引市場としては世界最大の規模を誇る。

 フランスの毛皮商ピエール・ラクリードが先住民との毛皮交易所を開いたのが始まりで、地名はルイ9世にちなんで彼が命名した。1762年からスペインの支配下にあったこの地は、1800年にフランス領に戻る間も毛皮取引所としてにぎわい、1803年にルイジアナ購入によって合衆国に編入され、ルイジアナ準州が設置されると首都となった。12年にミズーリ準州が設置されたときも首都となったが、21年の州昇格のときは、州都はジェファソン・シティに移された。22年の市制施行当時の人口は約5600であった。合衆国編入後は、それまでミシシッピ川随一の港湾として蒸気船の寄港地であったのに加えて、鉄道、道路交通の中心となり、西部開拓の玄関口として急速な発展を遂げる。とくに南北戦争期とカリフォルニアのゴールド・ラッシュ期に物資供給基地となり、商業、金融、軍事都市の地位を確固たるものとし、1860~70年の10年間に人口は倍増し、30万を超えた。1874年にはミシシッピ川の激流を越えてイーズ橋(鉄鋼製アーチ橋。現存する)が完成し、陸路が西へ通じた。1904年にはルイジアナ購入100年記念の万国博覧会も盛大に催された。1965年には、ラクリードが最初に交易所を開いたミシシッピ河畔の地に巨大なステンレス製のアーチ(ゲートウェー・アーチ=高さ192メートル。エーロ・サーリネン設計)が記念碑として建てられた。セントルイスの名物となっているこのアーチは、西部への門戸を象徴したものである。

 今日、市内外には自動車、航空機、車両、造船、食品などの工場約3000があり、大都市圏経済を支えているが、1950年代に工場と住宅の郊外移転が続き、市内には廃工場やスラム化した住宅が残されたため市財政を圧迫し、大きな都市問題となっている。市人口の45%が黒人で、とくに北部のスラム街に集中している。財政難のため再開発が進まないのも、人口減少をより著しくする要因となっている。教育、文化面でもミシシッピ以西の中西部での中心地で、セントルイス大学(1818創立)は西部でもっとも古く、セントルイス交響楽団(1880創設)はニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団に次いで古い歴史をもつ。また、1927年に飛行機で初めて大西洋を越えたリンドバークの乗機は、セントルイス財界の援助によるものだったため、スピリット・オブ・セントルイス号と名づけられていた。市内も、西部開拓の長い歴史を歩んできただけに、「古きよきアメリカ」のおもかげを残す所が多い。セントルイスの象徴であるゲート・ウェー・アーチからはるかな平原を眺め、ミシシッピ河畔に浮かぶ古いショー・ボートでラグタイムやジャズ音楽を楽しみ、市自慢の森林公園を散策し、多くの博物館、美術館を訪ねることができる。

[伊藤達雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「セントルイス」の意味・わかりやすい解説

セント・ルイス
Saint Louis

アメリカ合衆国ミズーリ州の最大都市。人口34万4362(2005),大都市域人口252万(1992)。州東部,ミシシッピ川西岸に位置し,大都市域は対岸のイリノイ州へも延び,イースト・セント・ルイスなどの衛星都市群をもつ。ミズーリ川とミシシッピ川本流の合流点のすぐ下流に位置し,1764年にフランスの毛皮商人が取引所を建設,地名はフランス王ルイ9世にちなむ。開拓初期以来,水上交通の要衝として発展,現在もハイウェー,鉄道,航空路の結節点。州東部最大の中心で,西部のカンザス・シティと州の商圏を二分する。また,デトロイトに次ぐ自動車工業の中心地で,フォード,GMなどの工場がある。マクダネル・ダグラス航空会社の本社もある。靴,ビール,機械などの工業,農産物の集散などの商業活動も盛んである。西部開拓史関係の資料を集めた博物館Museum of Westward Expansionがあり,西郊にはワシントン大学がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セントルイス」の意味・わかりやすい解説

セントルイス
Saint Louis

アメリカ合衆国,ミズーリ州東部にある都市。イリノイ州との州境をなすミシシッピ川の河畔,ミシシッピ川とミズーリ川の合流点近くに位置する。 1763年フランス人により毛皮取引所が建設された。スペイン,フランスの統治を経て,1803年アメリカ合衆国領となる。地名はフランス国王ルイ9世に由来。 05年ルイジアナ地方,12年ミズーリ地方の首都。西部開拓,探検の基地として発展し,「西部へのゲートウエー (門) 」と呼ばれ,ジェファーソン記念公園には『ゲートウエーアーチ』がそびえている。河川・鉄道・道路交通の要衝で,家畜,穀物,羊毛,木材などの大市場であった。現在は航空宇宙関係と医薬品産業で知られ,自動車,石油精製,醸造,化学,鉄鋼,食品加工などの工業が盛ん。毛皮取引中心地でもある。セントルイス大学 (1818創立) をはじめ高等教育機関,合衆国で2番目に古いセントルイス交響楽団 (81) ,ゲートウエー・コンベンションセンターなどの文化施設,国際空港がある。人口 31万9294(2010)。

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百科事典マイペディア 「セントルイス」の意味・わかりやすい解説

セント・ルイス

米国,ミズーリ州の最大都市。州東端,ミシシッピ本流とミズーリ川の合流点付近に位置,水陸交通の要地で,東部に多くの操車場がある。穀類などの取引の中心で,ビール,皮革,機械,電子部品,化学などの工業が行われる。デトロイトに次ぐ自動車産業の中心地で,フォード・モーターゼネラル・モーターズの工場がある。1764年フランス人が毛皮取引所を設けたことにより始まる。名はフランス王ルイ9世にちなむ。31万9294人(2010)。
→関連項目セントルイスオリンピック(1904年)

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世界大百科事典(旧版)内のセントルイスの言及

【アメリカ合衆国】より

…独立当時は,まだ行政区画もできていないアパラチア山脈以西の,ミシシッピ川までの土地を西部とよんだが,その後ミシシッピ川以西の土地もアメリカ領となり,開拓も西へ進むにつれて,西部もまた西へ移動した。ミシシッピ川中流の町セント・ルイスが西部へ向かうときの出発点となり,この川の西方すべてを西部とよぶ時代が続いたが,今日では西経約104゜の線より西にある11州を西部といっている。このうち,山岳や砂漠の多い内陸部8州が大半を占め,太平洋岸には3州がある。…

※「セントルイス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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