大型ハドロン衝突型加速器(読み)オオガタハドロンショウトツガタカソクキ(英語表記)Large Hadron Collider; LHC

デジタル大辞泉 の解説

おおがた‐ハドロンしょうとつがたかそくき〔おほがた‐〕【大型ハドロン衝突型加速器】

エル‐エッチ‐シー(LHC)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

大型ハドロン衝突型加速器
おおがたハドロンしょうとつがたかそくき
Large Hadron Collider; LHC

ヨーロッパ原子核研究機関 CERNが建設した粒子加速器。世界最大の科学実験装置で,ヒッグス粒子の発見や宇宙誕生の謎の解明などを目的とする。フランスとスイス国境の地下 50~175mにつくられた直径 3.8m,円周約 27kmの地下トンネル内に設置され,ハドロンの 2本のビーム環状加速器に沿って反対方向に発射するよう設計されている。粒子ビームは,深宇宙より真空度が高く,2K(絶対温度)以下までに冷やされた通路内を走る。トンネル内に据え付けられた約 1700基の大型超伝導磁石がつくる強力な磁場により,粒子ビームは光速度近くまで加速される。粒子ビームはトンネル内の 4ヵ所で交差し,粒子の一部が互いに衝突して大量の新しい粒子を生み出す。大型超伝導磁石と列をなす検出器が,それぞれの衝突地点で生産される粒子を集め,測定する。陽子同士の衝突で,14兆eV(電子ボルト)のエネルギーが発生する。1984年に発案され 2008年に実現。同年 9月に初運転したが電気系統の不具合で中断,2009年11月に再稼動した。(→加速器

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知恵蔵 の解説

大型ハドロン衝突型加速器

2008年9月に本格始動した欧州合同原子核研究機関(CERN)の世界最大級加速器。スイス・仏国境の環状トンネル(1周約27km)に超伝導磁石1000個余を並べて粒子を回す。陽子同士の衝突実験では、ビッグバンから1兆分の1秒後の14兆電子ボルト(eV)の高エネルギー宇宙を再現する。主な狙いはヒッグス粒子や超対称粒子の発見。最近のブレーン宇宙の理論から、4次元時空を超える隠れた次元探しや微小ブラックホールの探究にも期待がかかるようになった。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2008年)

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