日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本労働協会」の意味・わかりやすい解説
大日本労働協会
だいにほんろうどうきょうかい
1899年(明治32)10月、大井憲太郎(おおいけんたろう)が大阪で結成した労働団体。労働問題の攻究・実行を目的に掲げ、職工寄宿所、授産場などを設けて、労働者状態改善のための活動を行おうとした。同時期に片山潜(かたやません)を中心に設立された労働組合期成会がもっぱら東日本で活動したのに対し、大日本労働協会は西日本、ことに大阪周辺で影響を広げた。ただし、労働組合期成会とは異なり、組織しえたのは労働者といっても人力車夫などの職人であった。全国組織を目ざして1901年(明治34)に東京へ本拠を移したが、日露戦争後に大井が大陸へ渡ったころから衰退し、07年には有名無実となった。機関紙として『大阪週報』を発行していた。
[三宅明正]
『片山潜著『日本の労働運動』(岩波文庫)』
[参照項目] |
|