大物忌神社蕨岡口之宮(読み)おおものいみじんじやわらびおかくちのみや

日本歴史地名大系 「大物忌神社蕨岡口之宮」の解説

大物忌神社蕨岡口之宮
おおものいみじんじやわらびおかくちのみや

[現在地名]遊佐町上蕨岡

鳥海山山麓の南西端、上蕨岡かみわらびおか鎮座。鳥海山山頂にある社殿本殿とする鳥海山大物忌神社の里宮で、明治初年の神仏分離まで鳥海修験の拠点であった。祭神は大物忌神。末社として風神社・白山神社・磯前いそざき神社などがある。創建年代は不明で、「飽海郡誌」によれば松岳しようがく山の中腹に鳥海山一の王子堂を建て、これを大堂と称して、本地仏の十一面観音を安置し、衆徒勤行して道場となしたという。中世末期、蕨岡は真言系の修験の道場として栄えた。近世に入ると、それまで羽黒山の末であった鳥海山蕨岡修験は羽黒山から離脱し、貞享三年(一六八六)に山城醍醐寺三宝さんぼう院末になって、行事も三宝院法流に改め、当山派修験として順峰の法式となった(「三宝院門跡達書」社蔵)。鳥海山をとりまく修験のなかでは中心的な存在で、延宝五年(一六七七)の庄内寺社領記(遊佐町史)に三三の子坊がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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