大芋庄・大芋社(読み)おくものしよう・おくもしや

日本歴史地名大系 「大芋庄・大芋社」の解説

大芋庄・大芋社
おくものしよう・おくもしや

現篠山市内にあった中世の庄園。篠山川上流域の篠山盆地北東部に比定される。「篠山領地志」「篠山封疆志」は大雲庄として小田中こだなか山田やまだ篠見ささみ福井ふくいなか三熊みくま宮代みやしろ市野々いちのの立金たつがね大藤おおふじ小倉おぐら小原おばら藤坂ふじさかをあげており、「多紀郡志」は大芋庄として大藤・立金・市野々・宮代・藤坂・小原・三熊・福井・中村・篠見をあげる。大芋社は福井に鎮座する式内名神大社の櫛石窓くしいわまど神社のこと。延文五年(一三六〇)一二月二日の足利将軍家御教書(土佐家文書、以下断りのない限り同文書)は、丹波国大芋社下司・公文職以下名々について、久下帯刀丞や聖暁律師らの押妨を退け、絵所土佐越前守行光に下地を沙汰付けるように、荻野六郎左衛門尉・中沢掃部大夫に命じている。貞治二年(一三六三)一月二八日の某遵行状では大芋社下司・公文職等は石龕せきがん(現山南町)軍陣において聖暁律師に宛行ったとあり、観応二年(一三五一)一月洛中の戦いで足利直義に敗れ、丹波に逃れた足利尊氏が、同義詮に仁木頼章・義長兄弟を付けて石龕寺にとどめた際の功績によるものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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