大茶盛(読み)おおちゃもり

精選版 日本国語大辞典 「大茶盛」の意味・読み・例文・類語

おお‐ちゃもりおほ‥【大茶盛】

  1. 〘 名詞 〙 奈良西大寺年中行事。弘安五年(一二八二)正月歳首(さいしゅ)修法を行なった叡尊(えいぞん)結願(けちがん)一六日西大寺境内の鎮守八幡宮献茶し、その余抹を参会者に飲ませたのに始まる。神前献茶式の起源といわれる。巨大な茶わん、道具を使い、毎年四月一五、一六日に催す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大茶盛」の意味・わかりやすい解説

大茶盛
おおちゃもり

奈良・西大寺で催される一種の施茶釜(せちゃがま)のこと。1月15日、4月第2日曜とその前日の土曜、10月第2日曜に行われる。西大寺中興といわれる叡尊(えいそん)が暦仁(りゃくにん)(1239)正月、菩薩(ぼさつ)流の年始修法を行い、その結願の日に鎮守神である八幡宮(はちまんぐう)に献茶をし、その余服を衆僧に喫茶せしめたのが始まりといわれる。当初は直会(なおらい)の行事として寺内だけで行われていたが、室町時代に入ると庶民への施茶へ拡大していったものと考えられる。現在は茶碗(ちゃわん)をはじめ、釜も茶筅(ちゃせん)もすべて大型であるが、もちろん当初のままではない。

[筒井紘一]

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