大賀島寺
おおがしまじ
大雄山山上の大ヶ島にある天台宗の古刹。山号は大雄山。本尊は行基作と伝える千手観音立像。もと金山寺(現岡山市)末。正徳二年(一七一二)の当寺由緒書上によると、孝謙天皇の時代、報恩大師によって創建されたと伝える備前四八ヵ寺の一つ。開創以後の寺史はいま一つつまびらかでないが、正安二年(一三〇〇)弘法寺(現牛窓町)の本堂供養にあたり、当寺の僧四名が、散華と梵音を奉仕している(「本堂供養請定」弘法寺文書)。
当寺一帯は中世の豊原庄のうちで、備前の戦国大名に成長した宇喜多氏は同庄内を本貫地としたと思われるので、戦国期の頃、当寺は宇喜多氏と関係が深かったことは確かである。たとえば、一六世紀初頭に活躍した宇喜多能家が居城にした砥石城は、大雄山の峰続きにあり、天文三年(一五三四)能家が同城で討死したあと、当寺に葬られたという所伝は、まず信じてよいと思われる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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