宇喜多直家(読み)うきた・なおいえ

朝日日本歴史人物事典 「宇喜多直家」の解説

宇喜多直家

没年:天正9.2.14(1581.3.18)
生年享禄2(1529)
戦国時代の武将八郎,三郎左衛門尉,和泉守と称す。宇喜多興家の長男。天文3(1534)年祖父能家が砥石城(岡山県邑久町)落城によって自害した際,父と共に逃れた。同12年浦上宗景に仕える。翌年播磨の合戦で初陣の功をたてた。その後,宗景の命によって諸城を陥れるなど,備前西南部に勢力基盤を築いていった。永禄8(1565)年美作に侵入した備中成羽城(岡山県成羽町)の三村家親を撃退し,翌年再度侵入した家親を暗殺した。その後,直家の台頭を恐れた浦上宗景が毛利氏と結び,対立した。直家は同9年毛利氏と同盟を締結し,翌10年備前に侵入した三村氏を破り,備中に侵入して三村方の城を落とした。翌11年金川城(岡山県御津町)に拠る松田氏を滅ぼし,毛利氏と対立する出雲尼子氏と結んだ。翌12年備中で毛利氏と戦い,これを破った。天正2(1574)年前将軍足利義昭の仲介によって毛利氏と和睦する。同年本城を岡山に移した。同5年天神山城(岡山県佐伯町)の旧主浦上宗景を攻めて没落させた。しかし,同年播磨に侵入してきた織田信長の部将羽柴(豊臣)秀吉と戦い,敗れた。同7年信長と和睦し,再び毛利氏と対立。その抗争さなか,岡山城で病没した。梟雄と評されるが,その見直しも提唱されている。<参考文献>『岡山市史2』,立石定夫『戦国宇喜多一族』

(平野明夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「宇喜多直家」の意味・わかりやすい解説

宇喜多直家 (うきたなおいえ)
生没年:1529-81(享禄2-天正9)

戦国時代の武将。浮田とも書く。三郎右衛門,和泉守。先祖は備前邑久郡の豪族。はじめ備前守護代浦上氏の家臣。備前西部の雄族松田氏を滅ぼし,毛利氏と結んで,備前三村氏,美作三浦氏を討ち,浦上氏を滅ぼして備前,備中,美作に勢力を及ぼしたが,織田信長麾下(きか)の豊臣秀吉の中国進攻にともない秀吉に通じ毛利氏と交戦。岡山に城下町を建設した。死後,翌年まで喪を秘す。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宇喜多直家」の解説

宇喜多直家 うきた-なおいえ

1529-1581 戦国-織豊時代の武将。
享禄(きょうろく)2年生まれ。宇喜多興家の子。天文(てんぶん)12年浦上宗景につかえる。備前(岡山県)西南部に進出し,天正(てんしょう)元年岡山に城をきずく。毛利氏とむすび,5年宗景を追放。中国に侵攻してきた羽柴秀吉に敗れ帰順。毛利軍との戦いのさなか,9年2月14日病没した。53歳。通称は八郎,三郎右衛門。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の宇喜多直家の言及

【浦上宗景】より

…天文~元亀年間(1532‐73),尼子氏次いで毛利氏と美作・備中を舞台に覇を競った。その間,備前西半を中心に重臣宇喜多直家の勢力が伸張するに及び,1573年(天正1)足利義昭追放後の織田信長に款を通じ,播備作3国安堵の朱印を得た。その結果,宇喜多氏の離反を招き,翌年毛利氏と結んだ直家と対立,77年天神山城を攻略され,没落した。…

【岡山[市]】より

…周辺の開発は古く,弥生時代の津島遺跡のほか平地部北半に条里遺構があり,また造山(つくりやま)古墳(史),車塚古墳金蔵山(かなくらやま)古墳など大小の古墳も多く見られ,備前国府は旭川東岸の国府市場にあった。戦国時代に宇喜多直家が旭川沿いの丘陵に築城したのが都市形成の始まりで,その後,小早川氏,池田氏と交代したが,安定したのは1632年(寛永9)に池田光政が鳥取から入封して以来で,明治維新まで備前31万5000石の城下として繁栄した。廃藩置県を経て1876年に現在の岡山県域が成立すると,岡山は備前のみでなく,備中,美作を含む全域の中心となった。…

【備前国】より

… 政則の死後赤松氏が衰えると,代わって三石城を本拠とする浦上氏が台頭し,浦上村宗は主君赤松義村を幽閉暗殺して実権を握り,細川高国を擁して上洛し覇権を掌握しようとしたが,義村の子政村(のちの晴政)が三好元長に内応したことにより摂津大物(だいもつ)で敗死した。村宗の子宗景は本拠を三石城から天神山城に移したが,凡庸で家臣宇喜多直家に権力を奪われた。直家は毛利,織田両勢力の対立を利用しつつ,備中の三村氏を滅ぼし,備前を中心にその周辺地域(備中東部,美作南部,播磨西部)を支配下に収めて戦国大名として自立したが,間もなく病死し,子秀家は羽柴(豊臣)秀吉に養われて,のちに豊臣政権下の五大老のひとりとなった。…

※「宇喜多直家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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