天満浦(読み)てんまうら

日本歴史地名大系 「天満浦」の解説

天満浦
てんまうら

[現在地名]尾鷲市天満浦

尾鷲湾の北西岸にある。二つの集落からなり、巻の宮まきのみや岬と天神てんじん岬に囲まれた東の港が字天満、天神岬と汐鼻しおはなに囲まれた西の港が字長浜ながはまで、ともに良港である。慶長六年(一六〇一)検地帳(徳川林政史蔵)に「天満村」と記される。江戸時代初期に尾鷲組に属する。寛文(一六六一―七三)の頃天満浦と改称。「紀伊続風土記」に「村中漁猟をなさす、多くは山稼をなし、又廻船の水主等をなす、小名長浜は村の坤二三町礒辺の山の尾を隔てゝあり、舟繋り故に家居宜し、是も漁はなさす、村名天満は長浜堺の岬に天満宮を祭れるより起る」と記している。


天満浦
てんまうら

[現在地名]土居町天満 下天満

下天満しもてんまにある港。天満の西北端にあり、西側を仏崎ほとけざきのある西の江にしのえに囲まれている。

この浦は古来軍勢の上陸地に利用された。「南海通記」の文明一一年(一四七九)に「阿淡ノ兵船数百艘讃州筥ノ水崎ヲ廻テ予州宇摩郡河江新居郡天満浦ニ充満ス」と細川氏の伊予侵入を記し、また同書に「隆景、元長予州新居郡天満浦に着陣シ」と天正一三年(一五八五)の毛利軍の侵入が記されているが、これは史実としては問題があり、同年の吉川元長自筆書状(吉川家文書)には「今張津着岸」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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