天然ガス自動車(読み)テンネンガスジドウシャ(その他表記)Natural Gas Vehicle

デジタル大辞泉 「天然ガス自動車」の意味・読み・例文・類語

てんねんガス‐じどうしゃ【天然ガス自動車】

天然ガス燃料とする自動車総称ガスの貯蔵法により、圧縮天然ガスを用いるCNG車液化天然ガスを用いるLNG車、天然ガスを容器内の吸着材に貯蔵して利用するANG車の三種に分類される。いずれも黒煙排出や排出臭が少なく、ディーゼル車に代わる低公害車として普及している。NGV(natural gas vehicle)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天然ガス自動車」の意味・わかりやすい解説

天然ガス自動車
てんねんがすじどうしゃ
Natural Gas Vehicle

天然ガスを燃料とする自動車の総称。NGVと略称される。一般的に天然ガスを保存する際には燃料容器(タンク)内にガスを圧縮して高圧貯蔵(約20メガパスカル程度)するため、圧縮天然ガス自動車Compressed Natural Gas powered automobile(CNG自動車)とよばれる。ほかに液化天然ガス自動車Liquefied Natural Gas powered vehicle(LNG自動車)も実用化が進んでいるが、日本ではLNG車に限られている。

 天然ガスは石油にかわる現実的な自動車の燃料として注目されている。資源が豊富であることに加え、世界中のさまざまな地域で産出されるため、供給と価格が安定している。

 もっとも注目されている利点は、燃やしても環境負荷が少ないことである。天然ガスは、家庭用の都市ガス燃料と同様にメタンガスが主成分で、石油や石油ガスに比べて炭素含有量が少ないため、燃焼後の二酸化炭素(CO2)や炭化水素HC)の排出が少なく、窒素酸化物(NOx)の排出量も少ない。大型車に搭載されるディーゼルエンジンの燃料を天然ガスに切り替えることで、粒子状物質Particulate Matter(PM)や黒煙の排出がなくなる。世界的には、ガソリンエンジンを天然ガス仕様に改めた乗用車の普及も始まっている。日本でも、低公害であることからNGV普及のため国や地方自治体施策を講じている。だが、ガス補給のためのスタンドが少ないなど、インフラ整備が進んでいないことで普及は遅れている。

[伊東和彦]

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