太刀奪(読み)タチウバイ

大辞林 第三版の解説

たちうばい【太刀奪】

たちばい【太刀奪】

狂言の一。主人の刀を借りて通行人の刀を奪おうとした太郎冠者が、逆に相手に脅されて主人の刀をとられ、逃げ帰る。くやしがる主人とともに取り返しに行くが、失敗する。たちうばい。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

太刀奪
たちばい

狂言の曲名。太郎冠者(かじゃ)狂言。「たちうばい」ともいう。主人が太郎冠者(シテ)を連れ、北野神社のお手水(ちょうず)(御手洗(みたらし)祭)へ出かける途中、りっぱな太刀を持った男に行き会う。冠者はあの太刀をとってみせようといい、しかし丸腰では心細いからと、主人の少(ちい)さ刀(がたな)(脇差(わきざし))を借りて男に近づく。ところが、逆に相手の男に脅かされ、少さ刀を奪われて逃げてくる始末。主従は男の帰りを待ち伏せ、刀を奪い返すことにする。予想どおり男が来かかるので、主人が羽交い締めにすると、冠者はそれから悠々と縄をない始める。もどかしがる主人が早く後ろから縄をかけろと命じ、手を放すと、縛られていたのは主人のほうで、男は喜んで逃げてしまう。シテはまぬけで滑稽(こっけい)な太郎冠者の一類型を示し、類曲に『真奪(しんばい)』がある。
 1917年(大正6)、岡村柿紅(しこう)が脚色、6世尾上(おのえ)菊五郎が初演した長唄歌舞伎(ながうたかぶき)舞踊『太刀盗人(たちぬすびと)』は、本曲ではなく、雑狂言『長光(ながみつ)』に拠(よ)っている。[小林 責]

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精選版 日本国語大辞典の解説

たちうばい たちうばひ【太刀奪】

たちばい たちばひ【太刀奪】

狂言。各流。太郎冠者が通りがかりの男の太刀を奪おうとしてかえって主人から借りた小刀(ちいさがたな)を取られてしまう。主人はそれを聞き、男を待ち伏せてつかまえるが、太郎冠者の失敗で逃がしてしまう。「たちうばい」とも。「天正狂言本」では「縄綯盗人」。

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