夫婦がともに養子になること、またはそのような養子をいう。養子と養女とがのちに婚姻した場合も含まれるが、多くは当初から夫婦を養子とする場合である。従来民法では、夫婦は原則として共同で養子とならなければならないとされていたが、1987年(昭和62)の改正により、夫婦は共同で養子となる場合および夫婦の他方が意思表示できない場合を除いて、夫婦の一方は他方の同意があれば養子となることができる、というように要件がかなり緩和された。養子を未成年者に限る例が多い外国の立法では、あまり例をみない制度である。日本の実態では、夫婦養子がかなりみられ、それも夫婦が、単純に養親、または養親夫婦のそれぞれの養子になる、いわば単純夫婦養子よりも、養子夫婦の一方が、養親夫婦一方の子(実子または養子)である、いわば連れ子(継子)型夫婦養子のほうが多いようである。いずれにしても「跡継ぎ養子」の性格が強く、近代的養子法が企図しているものとはかなり異なる。
[山本正憲]
… 収養側本位の日本の養子のなかで,とくに著しいのは家筋の存続・継承を目的とする養子であり,とくに,子どもや男の子どもができないときに収養される。その具体的形態としては普通の養子のほかに順養子(弟や妹を養子にする形態),婿養子(女の子どもの婿を養子にする形態),夫婦養子(子どもがいない場合に男女とも夫婦として養子にする形態)などがある。このうちで日本の養子の特徴をよく示すものとして注目されるのは上述にもある婿養子である。…
※「夫婦養子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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